東日本大震災による被害は東北地方の太平洋側を中心に関東各都県等にも達し、大規模な津波による被災はさらに広範に及んで、未曾有の大惨事となりました。
この地震と津波で犠牲になられた方々のご冥福を衷心よりお祈りしますとともに、かけがえのないご家族、財産を奪われ、今なお、避難生活を余儀なくされている方々をはじめ多くの被災者の方々にお見舞い申し上げ、一刻も早い安寧と被災地の復興を祈念申し上げます。
未曾有の大災害を経た今、我々は、復旧・復興に向け、互いに協力して、力強く歩み始めなければなりません。
同じようなことが阪神・淡路大震災でもありました。その折り、当研究所は阪神・淡路大震災にかかわる不動産価格の「震災基準」を提供し、行政機関、個人、企業、金融機関等の皆様に歓迎されました。この例にならい、東日本大震災の「震災基準」を策定すべく、震災による不動産価格の影響について調査を迅速に開始し、津波をも勘案した基準を作ることを決定して、直ちに行動に移しました。当研究所は永年にわたる実践的活動により、土地の価格形成要因の変化に係る調査並びに多数の不動産鑑定士をはじめとする専門家集団の経験の集積、さらには、阪神・淡路大震災における研究等の成果があり、このたびの震災に関してとりまとめることができました。
ここにこの結果を発表して皆様のご参考に供するとともに、各位の忌憚のないご意見を賜れば幸甚に存じます。
なお、福島原子力発電所事故による不動産市場への影響と放射能汚染の影響を受けた不動産の評価の考え方についても、現在検討中です。