藤原 茂則
阪神・淡路大震災後においては、 粛々と土地の評価が行われた。 一方、 東日本大震災においては、 被災の様相が異なり、 土地の評価には多大な困難が伴うと思われる。 阪神・淡路大震災後の土地の評価を振り返りつつ、 東日本大震災における課題について考察する。
キーワード :内側と外側、 不連続性、 不確実性
中野 豊
東日本大震災のように、 大震災は被災地の人々の生活や企業の生産活動など、 経済全般に大きな影響を与えるが、 被災地の不動産市場にはどのような影響があるのだろうか。
本稿では、 阪神淡路大震災後の不動産市場を検証するとともに、 被災地の土地利用に影響を及ぼす復興計画について、 神戸市と奥尻町での策定経緯やまちづくり事業の取り組みを比較検討することにより、 東日本大震災が不動産市場に与える影響について考察する。
キーワード :地価動向、 世帯被災率、 移転需要、 復興計画、 高台移転
谷 和也
廣田 裕二
キーワード :原子力発電所、 正常価格、 放射性物質、 土壌汚染、
スリーマイルアイランド、チェルノブイリ、 スティグマ、 リスク、 対策方法・措置
東日本大震災土地評価連絡会 髙岡 英生
東日本大震災による被害は東北地方の太平洋側を中心に関東各都県等にも達し、 大規模な津波による被災は広範に及び、 未曾有の大惨事となった。 今後の復旧・復興は、 その基盤となる不動産が出発点となるが、 被災地域では不動産市場が十分に機能せず、 取引市場から正常な不動産価格を判定することが困難な状況になっている。 阪神・淡路大震災の折、 当研究所は不動産市場が正常に機能するまでの“道しるべ”として、 被災地域における土地評価の考え方を示した「阪神大震災に関する土地評価」を提供した。 この例にならい、 当研究所では地震直後の3月14日に幹部会議を開き、 今回の震災による不動産価格の影響を調査するためのプロジェクトチーム (東日本大震災土地評価連絡会) を立ち上げ、 この度、 不動産調査2011年7月号NO.381 「東日本大震災に関する土地評価 (震災が地域要因に及ぼす影響)」 を提供した。
キーワード :東日本大震災に関する土地評価、 地震、 津波
Harold (Skip) Perry, MAI, CRE, CPA
小西 史憲
はじめに
Ⅰ. 土地
1. 地震により海没した土地の所有権
2. 売買 3. 境界 4. 借地
5. 抵当権実行による法定地上権の成立
6. 造成地の瑕疵 (欠陥) 7. 農地
8. 震災復興土地区画整理事業
9. 罹災都市借地借家臨時処理法
Ⅱ. 建物
1. 売買 2. 隠れた瑕疵 (欠陥)
3. 区分所有
4. 相続人確定に伴う被災建物修理費求償
5. 施工瑕疵 6. 賃貸借
7. 罹災都市借地借家臨時処理法
Ⅲ. 土地工作物
Ⅳ. 税
1. 固定資産税 2. 消費税 3. 登録免許税
Ⅴ. 保険
1. 火災保険の地震免責特約による保険金不払
2. 地震保険の対象となる建物
Ⅵ. 参考
1. 戸籍 2. 支援金 3. 寄付金 4. 請負契約
5. 原子力発電所関係
廣田 裕二 菊池 慶之 谷 和也 林 述斌 曹 雲珍
当研究所は、 「第24回不動産投資家調査」 の結果を5月31日に発表した。
今回調査は、 2011年3月11日に発生した東日本大震災の直後に実施されたものであり、 不動産投資市場に強い不透明感がある中での調査となった。 なお、 今回は 「東日本大震災が不動産投資市場に与える影響」、 「J-REIT10年の軌跡」 の2本の特別アンケートを併せて実施した。 今回のアンケート結果の特徴は、 以下の5点に要約される
(1) Aクラスビルの期待利回りは、 前回と同様にほとんどの都市で横ばいとなったが、 仙台の期待利回りは+0.3%と比較的大きな上昇幅となっている。
(2) 賃貸住宅の期待利回りは前回に引き続き低下傾向にあり、 特に今回はファミリー向けマンションにおいても回復傾向が鮮明になった。 ただし、 仙台においてはワンルーム、 ファミリーともに利回りが上昇している。
(3) 不動産への新規投資意欲は、 第20回を底に一貫して回復傾向にあったが、 今回は微減となった。
東日本大震災が不動産投資市場に与える影響
(4) 東日本大震災が不動産投資市場に与える影響としては、 新規投資意欲にネガティブな影響があるとする回答が62%に達し、 震災により不動産投資市場に様子見のムードが広がった。 また震災の影響が残る期間については、 1年程度が41%、 2~3年程度が21%と比較的長期間の影響が見込まれている。
(5) J-REITの登場により不動産市場にポジティブな影響があったとする回答が88%に達する一方、 現在の時価総額については69%が適正な水準よりも低いと回答している。 また、 今後については優良物件の保有を増やすこと (65%) とともに、 内部留保の条件の緩和 (63%) を必要とする回答が多くなっている。
キーワード :不動産投資家調査、 利回り、 J-REIT、 投資意欲、 海外、Global Real Estate Markets Survey
外国鑑定理論実務研究会