齊藤 広子
This study aims at examining the contents of the information and the roles of the experts on buying and selling purchasing existing house in USA, UK, AU, France, Garmany and Italy to clarify implications for improving the dealing system of existing houses in Japan. The purchaser in their countries has enough information in purchasing an existing house, for example an efficiency assessment of the house, a statement of management and the repair cost. In this regard, it is useful for Japan to establish a new dealing system of the existing house, which the seller offers the information inspected by the experts who are in neutral position.
キーワード :住宅情報、 中古住宅、 住宅売買、 住宅市場
Key Word:Housing Information, Existing Houses, Buying and Selling, Housing Market
長嶋 修
新設住宅着工戸数はせいぜい50万戸規模が適正、 中古住宅やリフォーム市場は数倍規模に膨らむだろう。 我が国の空家率は13パーセントを超え、 従来路線はいずれにせよ持続不可能。 我が国は毎年19兆円程度の住宅投資を続けてきたが、 住宅資産額は一向に積み上がっていない。 新築住宅を買ったそばから価値が落ちる風潮をあらためる必要がある。 ホームインスぺクション (住宅診断) はじめ、 かつてないほど責任負担、 業務負担が重くなっている不動産仲介業をめぐる仕組みの整備や、 宅地建物取引主任者資格の厳格化等、 不動産仲介業に携わる者の品質確保等の施策により、 中古住宅市場を整備し国民に資産を持たせ、 安定した内需基盤をつくるべきだ。
キーワード :中古住宅、 ホームインスペクション、 市場整備、 内需経済
井上 淳二
グローバルな金融危機の影響により二年続けて大きな痛手を被った年金運用は、 昨年度の株式市況の回復によってようやく一息ついた。 しかし足元ではギリシャ問題をきっかけに再び国内外の市況に不透明感が漂い始め、 その影響が懸念されている。 こうしたボラタイルな株式市場への過度な依存から脱却すべく、 すでに多くの基金ではオルタナティブ投資への取り組みが進められているが、 その7割はヘッジファンドに集中しているのが現状である。 そこで本稿では、 欧米に比べて立ち遅れている日本の年金の不動産投資に焦点を当て、 その現状や課題を明らかにし、 今後の方向について年金コンサルタントの視点から考察を行う。 尚、 本稿で示した見解はあくまで著者個人の考えに基づくものであり、 著者が所属する組織の公式な見解を示したものではないことに留意されたい。
キーワード :年金、 オルタナティブ投資、 オープンエンドファンド
西嶋 淳
歴史的な経緯により社寺等に無償で提供されている国・公有地については、 憲法の制定時より政教分離原則等との関係において問題が認識され、 このような状態の解消が制度的にも図られてきた。 しかし、 憲法制定後60年以上経過してもなお、 わが国には社寺等の敷地として無償で提供されている公有地が相当数残っているといわれている。 このような公有地の違法な管理状態の解消を図るための手段については、 様々な観点での検討が望まれている。
キーワード :寄附、 政教分離原則、 目的効果基準、 国有境内地処分法、 譲与
髙岡英生
日本不動産研究所は平成22年3月末現在の 「市街地価格指数」 を5月20日に発表した。 「市街地価格指数」 から見た最近の地価動向の主な特徴は次のとおりである。
キーワード :市街地価格指数、下げ止まり、下落継続、大阪圏の地価動向
廣田 裕二、菊池 慶之、林 述斌、曹 雲珍、髙岡 英生
日本不動産研究所は、 「第22回不動産投資家調査」 の結果を5月20日に発表した。 今回のアンケートは、 J-REITによる公募増資と物件取得の再開や海外ファンド等の日本の不動産投資市場への再参入がみられる一方、 オフィス空室率の上昇と百貨店の閉店が相次ぐ環境の中で実施された。 今回のアンケートの特徴は、 以下の4点に集約される。
今回の調査結果から、 投資用不動産の利回りは安定に向かいつつあり、 投資意欲も回復基調に向かいつつあることが読みとれる。 とりわけ、 賃貸住宅の利回りは5期 (2年半) ぶりに低下する地区も現れた。 このまま景気回復基調が持続すれば、 東京都内から地方に市況の回復が広がっていく可能性もある。
なお今回、 新たな取り組みとして、 不動産投資家調査を海外主要都市のオフィス市場に拡大して実施した。 本稿では、 海外調査を実施するに至った背景等と、 調査内容・結果の概要を示している。
キーワード :不動産投資家調査、 利回り、 J-REIT、 投資意欲、 海外、 Global Real Estate Markets Survey
菊池 慶之、髙岡 英生、谷 和也、林 述斌
近年、 中国の経済状況が日本のどの時期に当たるのか活発な議論がなされている。 これは、 中国の経済発展が、 日本の戦後の経済成長を想起させることによるものである。 本稿では上海と東京の住宅マーケットを比較し考察を加えた。 考察の結果、 上海の経済水準は日本の1970年代前半の状況に似ているが、 住宅需要を取巻く状況は東京とは大きく異なり、 今後大きな構造変化が生ずる可能性が示唆された。 このため、 需要構造に関するより詳細な調査が必要になると思われる。
なお、 本稿は上海の住宅マーケットの特徴、 住宅取得行動の実態、 住宅需要の予測などを分析する研究プロジェクトの一環であり、 本稿は第51巻4号の 「上海における住宅マーケット形成の背景と住宅ストックの特徴」 に引き続き2回目の成果報告に当たるものである。
キーワード :上海、 東京、 住宅マーケット、 発展段階、 マンション価格
Key Word: Shanghai, Tokyo, Housing Market, Development Stages, Price of Condominium
外国鑑定理論実務研究会
日本不動産研究所図書室 主な新規受入図書リスト -2010 年2 月中旬~2010 年5 月下旬-