谷 和也
米国にてサブプライムローン危機が認識され、その影響が顕在化してからおよそ2年が経過しようとしている。その間、米国及び日本を含めた世界は、サブプライム危機に端を発した経済危機に見舞われた。
もはや問題は米国の住宅市場に留まらないが、今でも米国の住宅価格の行方が語られない日はない。危機回復まで未だ出口が見えない世界経済ではあるが、事の発端であったサブプライム問題は次なるフェーズに入った。
今日ではすっかり認知され、解説もされつくした感のあるサブプライム問題であるが、実際の現場を伝える情報は未だ乏しい。そこで現地を訪れ、その後を追った。
キーワード :住宅バブル、サブプライムローン、フォークロージャー
西岡 敏郎
アメリカにおけるサブプライム問題は海を越えてヨーロッパに拡大し、ヨーロッパの金融市場、不動産市場そして経済全体に大きな打撃を与えている。イングランド銀行のベースレートは、2009年3月には0.5%まで下がった。同銀行設立以来の低金利である。
本稿では、まずヨーロッパの不動産投資市場の動きを、やや古くなるが2007年12月までのデータにより概観し、次に直近までのイギリス不動産投資市場及び住宅市場の動向を検討する。
キーワード :不動産インデックス、イギリス住宅市場、サブプライム問題
林 述斌
キーワード :経済成長、金融危機の影響、不動産市場、景気刺激政策、内需、農村土地
山本 博英
内田 輝明
本件は、控訴人が被控訴人から工場跡地を買い受けたが、当該土地の土壌が有害物質により汚染されていたため、その後施行された東京都条例の規制に基づく汚染拡散防止措置が必要になったと主張して、被控訴人に対し、民法570条の瑕疵担保責任に基づく損害賠償を求める事案である。
本判決は、売買契約締結当時の知見、法令等が瑕疵の有無の判断を決定するものであるとはいえず、また、知見の変化によって消滅時効の起算点が可変的であるという考え方を示しているが、この考え方は、アスベスト含有吹付け材が使用された建物等についても適用され得るものであり、その影響は小さくない。本判決の内容には、更に検討・精査すべき点が多くみられ、最高裁判所の判断が注目される。
キーワード :土壌汚染、隠れた瑕疵、消滅時効
八木 正房
平成18年秋季~19年初夏にかけて住宅着工戸数の増加により木材価格が堅調であったため、平成19年調査においては平成2年以来17年振りに杉立木価格が上昇に転じたが、その後、建築確認審査の影響や需要の低迷により住宅着工戸数が減少したことから木材価格が再度低迷に戻ったため、全国平均では、杉・桧・松ともに下落した。
しかしながら、原産国による差異がみられるものの南洋材や北洋材の素材供給戦略が製品輸出に変更されてきているため、外材価格が値上がり傾向となっている。特に、ロシアの輸出関税引き上げの影響がではじめており、北洋材の代替として主として北海道産などの木材需要が高まっている。
本稿では、前回紹介した海外の木材需給事情の分析に引き続き、ロシアの素材輸出制限措置が及ぼす国産材需要の動向について紹介するとともに、日本不動産研究所が「山林素地及び山元立木価格調」として2008年9月11日発表した内容に加えてその後加工分析した内容を併せ紹介する。
外国鑑定理論実務研究会
・不動産統計
・日本不動産研究所図書室 主な新規受入図書リスト -2008年11月中旬~2009年2月中旬-