Think ESG/SDGs Databaseアーカイブ

  • 2023.04.10
  • Quiz / Headline / Keyword

東京都が配布を予定している「我が家の水害リスク診断書」とは何?

  • Background / Contents

 東京都は、ゼロメートル地帯が多い都内東部地域(江東区・墨田区・江戸川区・葛飾区・足立区)の浸水リスクが高い世帯に、関係区と連携して、「我が家の水害リスク診断書」を直接配布する事業を進めており、この夏から実施する見込みである。各戸ごとに、想定されるリスク、浸水深や推奨される避難方法を知らせる内容で、住民の危機意識や避難意識を向上させる狙いがある。

 風水害に不安を感じる人の割合は、令和元年東日本台風以降、低下傾向にある。従来のハザードマップの提示だけでは、自身のリスクと認識するのに限界がある中、有効な取組と考えられる。
 

  • 2023.04.10
  • Quiz / Headline / Keyword

国交省が公表した「『社会的インパクト不動産』の実践ガイダンス」の概要は?

  • Background / Contents

国土交通省は、「『社会的インパクト不動産』の実践ガイダンス」により、不動産分野を取り巻く社会的課題解決に向けた不動産の評価項目を整理し、公表した。ひと・地域・地球の課題解決に取り組むことで社会的インパクトを創出し、価値向上を図る不動産を社会的インパクト不動産と定義している。具体的には、不動産に係る社会課題・取組を4段階(①安全・尊厳②心身の健康③豊かな経済④魅力ある地域)・14課題・52項目に整理し、実践に向けたポイント等をまとめている。いわゆるESGのS分野の項目をかなり広範囲に網羅しているが、不動産のハード面との関連で整理されているため、一般的にS分野の課題とされている女性・シニア層の活躍、児童労働問題などには直接は触れられていない。

  また、ロジックモデルと称して、個別の評価項目の評価方法(例えば、子育て支援施設の設置という評価項目に対しては、施設の利用者数や利用者の満足度を用いて評価)を例示している。

 これらの項目の多くは、定義や評価方法がバラバラであったが、今回評価方法が例示されたことから、不動産オーナーがS分野への投資をする際の参考になるのではないか。
 

  • 2023.04.10
  • Quiz / Headline / Keyword

EUが2035年以降、内燃機関車の新車販売を認めないとしていた方針を変更したが、その背景は何?

  • Background / Contents

EU(欧州連合)は、2035年以降内燃機関車の新車販売を認めないとしていた方針を変更して、合成燃料を利用する場合には、内燃機関車の販売を認めることとした。合成燃料は既存の内燃機関車で利用が可能なことから、完全EV化すると既存自動車産業が壊滅的な打撃を受ける可能性があるドイツに配慮した結果である。もともと、ハイブリッド車の開発に出遅れ、代替策として進めたクリーンディーゼルエンジンもうまくいかなかった欧州が、打開策として打ち出した側面がある全面EV化に無理があったとも考えられる。

 EV車に完全シフトせず、ハイブリッド車、水素燃料電池車等の可能性も模索する日本勢にとっては、朗報とも言えるが、合成燃料は、ガソリンに比べてコスト高のため、このまま内燃機関車が生き残れると決まったわけではない。
 

  • 2023.03.27
  • Quiz / Headline / Keyword

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が3月20日に公表した第6次統合報告書の要約の概要は何?

  • Background / Contents

 IPCC(気候変動に関する政府間パネル)による第6次統合報告書の政策決定者向け要約が公表された。これは、気候変動に関する最新の科学的知見をまとめたものとされている。

 今回の報告書では、「人間活動が主に温室効果ガスの排出を通して地球温暖化を引き起こしてきたことは疑う余地がない」、「1850〜1900年を基準とした世界平均気温は2011〜2020年に1.1℃の温暖化に達した」、「継続的な温室効果ガスの排出は更なる地球温暖化をもたらし、短期のうちに1.5℃に達する」との見通しが示された。

 しかし、同時に今すぐ対策を講じることで、海面水位の上昇、洪水の増加、熱中症の増加など、温暖化に関連したリスクを抑えることが可能であることも示された。

 なお、統合報告書の内容は、これまで順次公表されており、今回はこれまでの公表内容が統合された報告書として最終的に採択されたものである。

 産業界の急激な脱炭素化は業種によっては現実的ではなく、その進捗は一本調子では進まないが、脱炭素化の必要性については、改めて強く認識しておく必要がある。

  • 2023.03.27
  • Quiz / Headline / Keyword

西村経済産業大臣は、22日の閣議後の記者会見で、「再エネ賦課金」の減額について明らかにしたが、その背景は何?

  • Background / Contents

「再エネ賦課金」とは「再生可能エネルギー発電促進賦課金」の略で、太陽光発電などの再エネ電力の買取原資として、電気代に上乗せして徴収されている。太陽光発電パネルを設置している家庭や事業者には恩恵があるが、設置していない者は徴収されるばかりという批判もありながなら、再エネ施設の普及には大きな役割を果たしてきた。

  これについて、西村経産大臣は、4月から1キロワット時当たり2円程度低下する見込みと宣べた。一般家庭の電気料金は月に800円ほど下がる見通しとなっている。電力の市場価格高騰に伴い、再エネ販売業者の収入が増加する結果として、賦課金が低下する見込みとなっている。

  毎年上昇が続いていた賦課金が下がること自体は朗報だが、そもそもの電気料金の上昇が続いている中、焼け石に水の状態となっている。

  • 2023.03.27
  • Quiz / Headline / Keyword

神奈川県川崎市が、建物への太陽光パネルの設置義務化を行う見込みだが、その背景は何?

  • Background / Contents

  東京都の住宅への太陽光パネル設置義務化がよく報道されているほか、京都府・京都市・群馬県などで、建物への太陽光パネルの設置を促す条例が施行されているが、2025年度から神奈川県川崎市も戸建住宅等に太陽光発電設備の設置を義務づける条例改正案を可決した。

  同市は、京浜工業地帯の工場や発電施設が多く、温暖化ガスの排出量が多い。自ら発行する公表資料で、全国の政令市の中で川崎市が最も温暖化ガス排出量が多いことを認めており、対外的にも対応策の公表が必須だったとも考えられる。

  今後、建築物への太陽光パネル設置義務を課す自治体が増えることが予想される。初期費用のコスト負担やパネルの廃棄処理の問題があるが、当面の脱炭素化の目標達成のためには有効ではないか。

  • 2023.03.13
  • Quiz / Headline / Keyword

米国年金基金が投資に際してESGの要素を考慮することを禁止する法案についての、最近の動きは?

  • Background / Contents

 米国の企業年金は、トランプ前政権時代に、投資に際して金銭的要素のみを考慮すべことが義務づけられた。しかし、バイデン現政権になって方針が変わり、ESG要因の考慮を認める規則が2023年1月末に発効した。ところが、米国の上院下院とも、ESGを考慮した投資判断を禁じる法案を可決した。バイデン大統領は、これに対し拒否権を発動すると見られている。

 両院の動きは、化石燃料の高騰で米国の石油メジャーの事業収支が未曽有の黒字となり、株主への配当とともにCO2削減のための設備投資を増やすという宣言をしたことに対し、共和党だけでなく、民主党の一部も呼応したものと推測できる。

 このところウクライナ戦争をきっかけに、EUを中心とした行きすぎたESG投資礼賛にブレーキがかかり、EUタクソノミーでも移行期においては、原子力と化石燃料であるLNGの利用が認められた。また、日本でも岸田首相がGXに関する予算化の説明において、資源の乏しい日本では、規制の厳しいグリーンファイナンスより移行ファイナンスによる調達が望ましいことを公表している。世界のリーダーである米国のESG投資に対するソフトランディングの姿勢は、日本や新興国の脱炭素社会への進め方と歩調が合っていると考えられる。

 

  • 2023.03.13
  • Quiz / Headline / Keyword

PRI(国連責任投資原則)の発表によると、ESGに関する株主提案を実効した企業の割合は?

  • Background / Contents

 PRI(国連責任投資原則)事務局の発表によると、2022年に米国のラッセル3000インデックスに登録されている上場企業に対し、924件のESGに関する株主提案がされ、その内78件が株主の過半数の支持を得た。

 しかし可決された株主提案の内容を完全に実施した割合はわずか23%にすぎず、部分的に実施した割合も14%に留まっている。

 企業がESG対応に真剣に取り組むためには、取り組まなかった場合のデメリットがより明確化されるのを待つ必要がありそうだ。産業革命以降400年にわたり化石燃料を基にして経済発展を遂げてきた人類は、地球温暖化が先進国の経済活動を破壊するというエビデンスが顕在化しない限り、急激にグリーンファイナンスへシフトすることはないだろう。移行ファイナンスによる脱炭素社会の達成と、温暖化による洪水被害等自然災害が、経済活動で得られる利益以上の損害額を顕在化させることの、どちらが先に証明されるかによって脱炭素社会へ向かうスピードは変わっていくだろう。

 
 
 

  • 2023.03.13
  • Quiz / Headline / Keyword

都市ガス会社が脱炭素の切り札として開発している技術は何?

  • Background / Contents

 燃料関連での脱炭素化の取組として、石炭石油から天然ガスへの移行、再生可能エネルギー利用の拡大、CCUS(二酸化炭素の分離・回収・資源としての再利用)などが進められているが、都市ガス各社が進めているのは、メタネーション(水素と二酸化炭素からメタンを合成する技術)の開発。発電所や工場から回収したCO2を原料にメタンを作れば、燃焼時のCO2と相殺され実質排出量はゼロとなる。コスト高が現在の課題だが、既存インフラやガス機器を活用でき、脱炭素の切り札となると期待される。

  • 2023.02.27
  • Quiz / Headline / Keyword

国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が、気候変動の情報開示基準を2024年から適用すると決めたが、これに対応した日本基準の適用時期は?

  • Background / Contents

 国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)は2月16日、新たな気候変動の情報開示基準を2024年から適用すると決めた。内容は、「S1基準」と呼ばれる「サステナビリティ関連財務情報の開示に関する全般的要求事項」と、「S2基準案」と呼ばれる「気候関連開示」。

 これに対応した日本基準の策定をサステナビリティ基準委員会が策定予定である。公開草案の目標公表時期が2023年度中、確定基準の目標公表時期を2024年度中とし、3月期決算を前提とした場合、2026年3月期から早期適用が可能となる見込みである。

 日本基準の策定をなるべく早め、国際基準とのタイムラグを少しでも縮めることを期待したい。
 

  • 2023.02.27
  • Quiz / Headline / Keyword

次世代太陽電池といわれ注目されている「ペロブスカイト太陽電池」とは何?

  • Background / Contents

 ペロブスカイト太陽電池とは、ペロブスカイトと呼ばれる結晶構造を有する材料を発電層として用いた太陽電池の総称。2009年桐蔭橫浜大学の宮坂教授が世界で初めて報告したが、当初発電効率が低く注目されなかった。しかしその後発電効率アップが計られ、次世代太陽電池の有力候補となっている。

 特徴としては、大幅な低コスト化が可能で、フィルム材料への形成が可能で薄く軽量のため、工場や倉庫屋根など設置可能場所が飛躍的に広がる可能性がある。

 耐久性の向上など課題を克服して、太陽光発電、陸上風力発電の適地が少ない日本の弱点克服に寄与してもらいたい。

  • 2023.02.27
  • Quiz / Headline / Keyword

2023年4月から正式に活動を始める「GXリーグ」とは何?

  • Background / Contents

「GX(グリーントランスフォーメーション)リーグ」とは、二酸化炭素(CO2)の排出削減に取り組み、国際ビジネスで勝てる企業が自主的にGXを牽引する仕組み。2023年1月末時点で679社が賛同を表明している。この679社で日本のCO2排出量の4割以上を占めており、その影響は大きい。

 4月から正式に活動を始め、まずは、CO2削減量を売買できる排出量取引を試行開始するほか、市場創造のためのルール形成をめざしている。

  政府は、今後発行する「GX経済移行債」による資金をGXリーグ参加企業を手厚く支援することも視野に入れているなど、当初より取組の方向性が明確化してきている。

 これまで、環境問題に関しては、欧州が主導権を握りがちだったが、日本企業が、世界に貢献するためのリーダーシップのあり方を示すことが目標になっており、この活動が尻すぼみにならないことを期待したい。

  • 2023.02.13
  • Quiz / Headline / Keyword

東京都がバイオ燃料を利用したバスの運行を実施しているが、その意義は?

  • Background / Contents

 東京都は、電力のHTTと称して、電力を「H」減らす・「T」創る・「T」蓄めるを推進するほか、ゼロエミッション東京の実現に向けた対策を進めている。

 その一環として、環境にやさしいバイオ燃料の活用推進と普及のため、都営バス58両をバイオ燃料により運行し始めた。その内5両についてはラッピングでバイオ燃料による運行をアピールしている。運行期間は1ヶ月程度としている。東京都は昨年夏にはバイオ燃料による屋形船の運行を行ったがこちらは1週間程度であった。

 せっかくの取組なので、より長期間運行し、ラッピング車両をもっと増やして、アピールしては如何か。

  • 2023.02.13
  • Quiz / Headline / Keyword

政府が発行を目指しているGX移行債とは何?その意義は?

  • Background / Contents

 地球温暖化ガスの排出を2050年までに実質的にゼロにするのために必要と言われている約150兆円の投資額のうち、約20兆円を国がGX経済移行債として調達して、民間の投資が活発化するためのきっかけになることを目指している。

 資金使途を再エネ施設などグリーンと認められるものに限定する「環境債」ではなく、「移行債(トランジションボンド)」とすることで、現在温暖化ガスの排出量が多い企業が脱炭素化をはかるたことなどに利用されるため、現在の日本の実態には合っていることは評価できるが、債券として投資家に通常の国債より選好されるのかは不透明である。

  • 2023.02.13
  • Quiz / Headline / Keyword

環境省、経済産業省、国土交通省の3省が共同で行っている、住宅省エネ化支援とは何?

  • Background / Contents

 環境省、経済産業省及び国土交通省は、住宅の省エネリフォーム等に関する新たな補助制度を創設し、ワンストップで利用可能とするなど、連携して支援を行っている。

 具体的には、①こどもエコすまい支援事業(子育て世帯のZEHレベルの家の新築に100万円、リフォームに30万円の補助等)、②先進的窓リノベ事業(高性能な断熱窓への改修で最大200万円の補助等)、③給湯省エネ事業(高効率給湯器の設置で15万円の補助等)で、総予算額は2800億円となっている。

 従来各省の支援策はバラバラで利用しにくかったが、申請手続きを事業者が代行することで、ワンストップで利用可能となったことは評価できる。

  • 2023.01.30
  • Quiz / Headline / Keyword

国土交通省が進めているLCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅整備推進事業とは何?

  • Background / Contents

 LCCM住宅とは、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)よりさらにCO2排出量の削減を進めた脱炭素化住宅で、建設時、運用時、廃棄時の各段階においてCO2排出量削減に取り組み、太陽光発電など再生可能エネルギーを利用して、CO2の収支をマイナスにする住宅を言う。

 ① ZEHの要件を満たすこと、②一次エネルギー消費量が現行の省エネ基準値から25%削減されていること、③ライフサイクル全体のCO2排出量を算定した結果が0以下となることの基準を満たした場合に、一戸当たり上限140万円を補助する。

 建設資材、人件費の値上がりが普及の阻害要因となるが、環境志向の富裕層から徐々に普及していくことを期待する。

  • 2023.01.30
  • Quiz / Headline / Keyword

2023年3月期決算以降の有価証券報告書で記載を求められる「人的資本」の概要は?

  • Background / Contents

 「人的資本」とは、人材や人材が持つ知識や能力をいい、近年注目度を増す非財務情報の一つ。人手不足のなか、「人材」を宝と考え、「材」に「財」の字を充てることもある。

 日本では、2023年3月期決算以降の有価証券報告書で開示が義務づけられた。具体的な開示項目は、人材育成方針、社内環境整備方針、これらに関する指標・目標等のサステナビリティ情報、女性管理職比率、男性育休取得率、男女間賃金格差等となっている。

 サステナビリティ情報については、定量的な評価が難しいが、開示が普及することで、企業や従業員の意識が高まっっていくだろう。

  • 2023.01.30
  • Quiz / Headline / Keyword

かねてより心配されていた南極上空のオゾン層破壊に関する最近の状況は?

  • Background / Contents

 冷蔵庫の冷媒等で過去使われていたフロン等により、南極上空のオゾン層が破壊され紫外線が直接照射されることが懸念されていたが、国連環境計画(UNEP)は、南極上空のオゾン層が修復されてきており、2066年ごろまでに、破壊が認識される前の1980年の水準に回復するとの予測を発表した。

 1989年にフロン等のオゾン層破壊物質の生産を禁じる「モントリオール議定書」が発効し、その後の各国の対策が功を奏したと見られる。

 近年、地球温暖化ガス排出削減に向けた取組については、目標未達や各国間の利害対立が目立つ中、数少ない環境対策の成功例と言える。

  • 2023.01.16
  • Quiz / Headline / Keyword

環境省が音頭を取って2022年10月にスタートした、「脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動」とは何?

  • Background / Contents

 2030年までに住宅仕様・設備の高性能化、サステナブルファッションの取り入れ、働き方改革、次世代自動車の利用等により、温室効果ガス削減目標達成と共に、経費節減(例示では年間43万円)、余暇時間の創出(同388時間)などを目指す、新しい暮らしの実現を目指す運動。

 第1弾の具体的な個別アクションとして、①全世代が働きやすい服装を選べる"オフィス服装改革"の呼びかけ、②快適で健康な暮らしにつながる住宅断熱リフォーム促進キャンペーン、③テレワークの率先垂範、国立公園のデジタル化(ワーケーション・インバウンド対応)があげられている。

 更に、ポータルサイトを設け、新しい暮らしを支える製品・サービスの提案や企業・自治体等の取組情報の登録を推奨しているとともに、新しい暮らし方を体感できる拠点を設定していくとしている。
 脱炭素社会の実現のためには、個人レベルでのライフスタイルの変革も重要であり、国は、この取組についてもっと発信していくべきではないか。

  • 2023.01.16
  • Quiz / Headline / Keyword

2022年12月、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が発表した「スコープ3」の排出量の開示時期延長の背景は何?

  • Background / Contents

 2022年12月、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)は、策定途中の気候変動関連の情報開示基準で、取引先全体に関わる「スコープ3」と呼ばれる二酸化炭素排出量の開示時期に最低1年の猶予期間を設けることを決めた。

 「スコープ3」はすべての取引先にデータ開示を要請する必要があり、個別企業の負担が大きく実施は容易ではない。厳しすぎる基準のため、開示が進まないことを避けるため、各国の産業界からの要望に配慮した。

 企業は当面の負担は回避できた形だが、あくまで開示時期の先延ばしであり、先に開示に対応した企業が現れると差別化されてしまうため、引き続き対応を検討する必要がある。 

  • 2023.01.16
  • Quiz / Headline / Keyword

日本不動産研究所等が認証機関となっている不動産レジリエンス認証制度「ResReal(レジリアル)」とは何?

  • Background / Contents

「ResReal(レジリアル)」は自然災害に対する不動産のレジリエンスを定量化・可視化する認証制度。地震・津波・土砂災害などの自然災害ごとの不動産のレジリエンスを評価するが、当面は水害のみを評価対象としてスタートしている。

立地や浸水対策などの建物の性能(ハード面)だけでなく、災害時用の備蓄や防災訓練などのソフト面も考慮し、総合的・定量的にその内容を評価するものとなっており、将来的には、TCFDおける物理リスク開示に利用されることも目標としている。