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不動産証券化市場の発展と投資家保護のために
不動産鑑定評価基準では、証券化対象不動産の鑑定評価を、一般の鑑定評価とは別に位置付けています。これは、証券化対象不動産に対する投資家の保護、ひいては不動産証券化市場の健全な発展を促す観点から、証券化対象不動産の鑑定評価に一般の鑑定評価以上の説明責任や比較可能性等を求めていることによります。
不動産鑑定評価基準に定義される証券化対象不動産は以下の取引の目的となる不動産等とされており、その鑑定評価においては、想定される証券化スキームや関係者の把握、エンジニアリング・レポートの取得と不動産鑑定士の主体的な活用、DCF法の適用の義務付け及びその過程の明確化や収益費用項目の統一等が義務付けられています。
取引に向けた限られた時間の中で、同じ感度とスピードで膨大な資料を整理し論点を潰していくには、こうした鑑定評価に慣れた鑑定機関と協働する方がストレスを少なくできます。また、取得後の継続的なモニタリングの中では、投資家の皆様や関係者(融資機関・監査法人・監督当局など)への説明において地理的・時間的なバランス調整も要求されます。
弊所は、証券化対象不動産の鑑定評価にかかる膨大な取り扱いの中でこうしたノウハウを積み上げて参りました。例えば、J-REITの運営にあたっては毎期の時価評価が必要となりますが、全国で4,400物件を超えるJ-REIT保有物件の期中評価のうち、実に3分の1を弊所が担当させていただいております。
弊所では、証券化対象不動産の鑑定評価に対応する独立部署(証券化部)を設置、日々の市況観のアップデートとブラッシュアップを通じて正確な価格判断をお伝えするとともに、監査法人や監督当局からの問い合わせ対応へのご協力、リスク管理支援やIRのご支援、グリーンビル認証の取得にかかるお手伝いなど、所内各部署とも連携しながら、お客様からのご相談にきめ細かく対応できる体制を整えております。ぜひお気軽にご相談ください。
1.証券化対象不動産の鑑定評価・価格調査 | 不動産の証券化やREITによる不動産の取得や売却、保有期間中のモニタリング(時価把握)に必要な鑑定評価・価格調査(不動産鑑定評価基準各論第三章に準拠)を提供しております。 証券化対象不動産に特化した部署(証券化部)が、お客様との間で感度と時間軸を共有しながら対応します。 日本の不動産証券化市場の創成期から携わり、市況観について不断に積み上げてきたアップデートとブラッシュアップの歴史、アセットタイプ・エリア・業務領域に応じた専門部署との協働に裏打ちされた説明力、証券化対象不動産の受任シェアにも示されている信頼と安心が弊所の武器です。 |
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2.インフラ資産に関連する不動産鑑定評価・各種法令調査 | インフラ投資法人やインフラファンドによるインフラ資産の取得や売却、保有期間中のモニタリング(時価把握)に対しても、その構成要素となる不動産の鑑定評価・価格調査(不動産鑑定評価基準各論第三章に準拠)を提供しております。 また、インフラ関連のその他のサービスに各種法令調査があります。投資施設の広大な敷地に対する各種規制、発電事業等にかかる各種許認可取得状況等を調べるのは大変です。弊所ではお客様に代わってこれらを調査するサービスを提供しています。 |
3.各種マーケットレポートの作成 | 不動産証券化にかかる各種マーケットレポートの作成を行っております。特にご相談が多いのは、ヘルスケア施設やホテルなどのオペレーショナルアセットの事業性・市場性などにかかる調査、オフィスや住宅などの賃料水準にかかる調査などです。お客様のニーズと予算に合わせて、オーダーメイドでフォームを検討させていただきます。 また、不動産証券化に関連しては、証券化の対象となる不動産そのものに限らず、エクイティ商品の価格調査などにも対応いたします。その他、市況予兆モニタリング、短期・中長期の賃料予測、投資利回りの将来予測といったリスク管理・IR支援のレポートの作成も承っております。 |
Q私募REITの組成を計画しており、関係者のチームアップを進めています。その中で、不動産の取得や売却、期中の時価情報取得にかかる鑑定業者を探していますが、日本不動産研究所に鑑定評価を発注するメリットは何ですか? | 公募REIT・私募REITが保有する物件の期中評価について3割以上のシェア(弊所推計)を有することなどをもって、既存のお客様からは信頼性と安心感を挙げていただくことが多いです。 また、監査法人や監督当局からの問い合わせに対するお客様支援、弊所内の市況観・評価方針の定期的(半年毎)な整理と説明などで、お客様にメリットを感じていただけるように努めています。 その他、市況予兆モニタリングなどのリスク管理・IR支援、グリーンビル認証取得のお手伝いといった所内専門部署との連携による付随サービスのご提供も好評をいただいております。 |
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Q継続的に投資用不動産を積み上げていく中で、証券化不動産の取得時の鑑定評価は、どのような流れで進めていけばよいでしょうか? | 正式なご依頼の前に、対象不動産の賃料水準・利回り感などについてご照会をいただくことが多いです。 また、お客様の取得確度によっては、粗々の価格水準を事前に概算させていただくこともあります。 これらをベースにお客様と市況観等についての意見交換を行い、正式に鑑定評価をご依頼いただきます。正式依頼の後は、弊所による評価作業、経過報告(価格連絡)、ドラフト提出、評価書発行と、お客様にとって必要なプロセスとスケジュールに沿って、業務を進めさせていただいております。 |
Q日本不動産研究所は、半年に一度「不動産投資家調査」を通じて投資不動産の利回りを調査していますが、実際の鑑定評価ではこの調査で発表されている利回りを用いるのでしょうか? | 「不動産投資家調査」は100社以上から回答いただいたアンケートに基づき、不動産投資における期待利回りを中心に市場プレーヤーの投資スタンスを集計したもので、過去からの推移や今後の見通しとして多いに参考になるものですが、必ずしも実際の取引に基づいて算出された数値ではありません。 現実の市場を規範とする鑑定評価においては、「不動産投資家調査」の結果も参考としつつ、実際の取引利回り、日々の鑑定評価業務における市場分析、市場プレーヤーとの対話などを通じた収集情報を反映した、「不動産投資家調査」で示される水準とは異なる利回りを採用しております。 |
Q不動産鑑定評価基準の各論第三章とは何でしょうか? | 2007年の不動産鑑定評価基準改正において追加された「証券化対象不動産」のための評価ルールです。 投資家保護が強く意識されており、想定される証券化スキームや関係者の把握、鑑定評価にとっても重要な資料となるエンジニアリング・レポートについての不動産鑑定士の主体的な活用、DCF法の適用過程の明確化や収益費用項目の統一等が盛り込まれています。 一部の例外を除き、証券化対象不動産の鑑定評価においては、当該「各論第三章」に準拠することが義務付けられています。 |