Think ESG/SDGs Databaseアーカイブ

  • 2022.08.22
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8月2日に公表された国土交通省試算による、建設現場でのGHG排出量が全排出量に占める割合は?

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 8月2日に開催された社会資本整備審議会・技術部会における国土交通省説明資料によると、2020年度でGHG排出量(Scope1+2)は全排出量の約0.7%、建設材料等のサプライチェーンを含めたGHG排出量(Scope3)は、全排出量の約10%強と試算されている。
 一方、建設段階及び維持管理段階毎のGHG排出量割合については、公共土木で建設段階が66.5%、維持管理段階が33.4%と試算されている。
 なお、維持管理段階において、緑地(都市公園、道路緑地、河川・砂防緑地、港湾緑地、下水道処理施設の外構緑地)、ブルーカーボン生態系による吸収量を計上している。

  • 2022.08.22
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環境省が設立準備を進めている「(株)脱炭素化支援機構」の目的と概要は何?

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 環境省は、脱炭素事業に取り組む民間事業者等を支援するため、(株)脱炭素化支援機構の設立準備を進めている。7月下旬からこの取組に関心のある企業、金融機関、自治体向けの説明会を全国7カ所で始めた。
 同機構は、国の財政投融資と民間からの出資を資本金とするファンド事業を行う株式会社で、脱炭素に資する事業に対してエクイティ・メザニン等のリスクマネー供給を行い、巨額の民間ESG資金を脱炭素投資に振り向ける呼び水となることを目指している。
 令和4年度の国からの最大出資額は200億円で、継続的に国から出資し、2050年カーボンニュートラルの実現まで活動することを想定している。

  • 2022.08.22
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環境省は、脱炭素経営に向けて、事業者向けにTCFDを活用した経営の手順を公表したが、その内容は?

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 2022年4月に東京証券取引所は、市場区分を再編し「プライム市場」「スタンダード市場」「グロース市場」の3区分とした。この目的は、各市場の性格を明確化し、増えすぎた旧東証一部上場企業の整理を行うことなどであった。しかしながら、「グローバルな投資家との建設的な対話を中心に据えた企業向け」の最上位市場である「プライム市場」の上場基準が予想より低く、経過措置もあり、旧東証一部上場企業2180社のうち約8割がプライム市場を選択した。海外投資家からは経過措置後の姿に期待がかかる。

 一方、プライム市場上場企業は、気候変動によるリスクや収益機会による影響をステークホルダーに示すため、TCFDと同等の枠組みに基づく開示の充実を求められている。環境省は、こうした企業向けに、TCFDを活用した経営の手順を公表した。その概要は、以下のとおり。

フェーズ⓪:「なぜ脱炭素経営に取り組む必要があるか?」を認識
フェーズ①:事業に影響を与える気候関連リスク・機会の把握
フェーズ②-1:サプライチェーン排出量の算定
フェーズ②-2:排出削減目標の設定
フェーズ③:排出削減計画の策定
フェーズ④:削減対策の実行、並行して、脱炭素を前提とした事業遂行
フェーズ①~④を一通り対応した後:見直しを行い、新たなサイクルに入る。

  • 2022.08.08
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政府は2050年のカーボンニュートラルに向けて、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の普及をめざしているが、2020年の実績は注文戸建住宅の24%に留まっている。ZEH普及の妨げになっている課題は何?

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 ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは、省エネルギー性能を高め、太陽光パネルを設置することにより、使用するネルギーを実質ゼロ以下にした住宅。光熱費の削減や室内の温度差による健康被害がなくなる(ヒートショックの回避)などのメリットがあるが、普及の壁になっている主な課題としては、以下が挙げられる。

①中小工務店などで、省エネ性能の高い住宅を建築する技術力が足りない場合がある。

②ZEHに対する補助金制度があるが、申請時期や件数に制約があり、希望しても利用できない場合がある。

③断熱性など省エネ性能を高めることや太陽光パネルの設置のために、初期投資額が嵩む。また、付随する機器(パワーコンディショナー等)は耐用年数が10年程度と短く、更新費用が嵩む。更に、太陽光パネルの廃棄時に要する費用が不明である。

④太陽光パネルなどの再生可能エネルギー施設の設置が物理的な問題や日射量の問題で困難な場合がある。

  • 2022.08.08
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政府は2050年のカーボンニュートラルに向けて、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング)の普及をめざしているが、2020年1月までの累計の実績はNearly ZEB、ZEB Ready、ZEB Orientedを含めても323件に留まっている。今後の普及に向けての課題は何?

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 ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング)とは、省エネルギー性能を高め、太陽光パネル等を設置することにより、使用するネルギーを実質ゼロ以下にしたビル。光熱費の削減やビル価値の向上などのメリットがあるが、普及の壁になっている主な課題としては、以下が挙げられる。

①初期投資額が高額となる一方、賃料上昇や経費節減の効果が必ずしも十分でない。

②ビルは一棟ごとに仕様が異なり、ZEB実現に向けたノウハウの蓄積・共有が難しく、対応可能な設計・建築業者が限定される。

③太陽光パネルなどの再生可能エネルギー施設の設置が物理的な問題や日射量の問題で困難な場合がある。

  • 2022.08.08
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英国・米国のZEB・ZEHの取組状況は?

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 英国は、2016年までに新築住宅をゼロエネルギー化、2019年までに住宅以外の新築建築物をゼロエネルギー化するという目標を掲げ、ZEH化、ZEB化を推進してきた。また、2021年10月、2050年までの「ネットゼロ」達成に向け、建物の脱炭素化のために39億ポンドを新たに投じ、その一環として2022年4月からの3年間で4億5,000万ポンドを拠出、住宅向けのガスボイラーの新設を禁止し、ヒートポンプなど、より効率的で低炭素な暖房システムの導入を支援することを発表している。

 米国も、バイデン大統領がパリ協定に復帰、2050年温室効果ガス排出ネット・ゼロを表明した。また、2030年までの新築商業用建築物のネット・ゼロ化、2035年までにの国内のすべての建築物のからの排出量50%削減を中間目標に位置づけた。米国内でも先進的な取組で有名なカリフォルニア州では、2020年から新築戸建て住宅への太陽光発電設備の設置が義務づけられている。

  • 2022.07.25
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岸田首相が、今冬に原発9基の稼働させることを表明したが、その内容と課題は何?

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 岸田首相は7月14日、原子力発電所を今冬に最大で9基稼働すると表明した。国内消費電力の約5%の電力を確保する。国内原発33基のうち、電力会社が再稼働を申請した原発は25基あり、内10基は稼働可能であるが、定期検査等により現在稼働しているのは5基(1基は9月に停止予定)にとどまっている。新たに稼働予定の原発は5基となる。

 稼働見込みの9基は関西電力、四国電力、九州電力の原発で、元々、今冬の供給計画に含まれており、供給力に余裕が生じたわけではない。また、東日本の原発の稼働は見込まれていない問題がある。

  • 2022.07.25
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2022年1月時点における世界の原子力発電所数と発電量は?また、原子力発電に関し最近浮上したリスクとは?

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 2022年5月9日に一般財団法人日本原子力産業協会から刊行された「世界の原子力発電開発の動向2022年版」によると、運転中の原子力発電所数は431基(前年比3基減少)、発電量は4億689.3万kw(前年比98.9万kw減少)である。2021年中に、7基(内中国が3基)が建設され、10基が閉鎖、10基(内中国が6基)が着工された。本資料は、日本原子力産業協会が世界の電力会社等から得たアンケートの回答等に基づき、2022年1月1日現在のデータを集計したもの。

  なお、ロシアのウクライナ侵攻後に浮上したリスクとして、ウラン濃縮でロシア企業が4割弱のシェアをもち、エネルギー安全保障上の課題になる可能性があることが最近指摘されている。

  • 2022.07.25
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次世代発電技術とされ、現在の原子炉より安全といわれている「小型原子炉」とは何?

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 「小型原子炉」とは、出力が30万キロワット以下の比較的小さい原子炉をいう。1基あたりの出力は小さいが、複数個並べて運転することで、大きな電力を確保する仕組みとなっている。規模が小さいため、万が一事故が起きた場合に、大量の冷却水ががなくても安全に原子炉を停止させられるとしている。

 米国、イギリスなどが開発に力を入れているが、危険性はゼロではないとの指摘もあり、「グリーン」とみなされるかは不透明である。

  • 2022.07.11
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国際エネルギー機関(IEA)が、原子力発電の重要性について発表したが、その趣旨と課題は何?

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 国際エネルギー機関(IEA)は6月30日、再生可能エネルギーに安全に移行し、2050年までに温暖化ガスの排出を実質ゼロにするためには、原子力発電を倍増する必要があると発表した。

 しかし、現在の原子力発電容量の約63%は30年以上前の古い時期に建設されたもので、また新設はコスト高で必ずしも競争力がない。更に、2017年以降に建設を開始した原子炉31基のうち、27基が中国かロシアの設計で、西側先進国は、市場のリーダーシップを失っていることが指摘されている。

  • 2022.07.11
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国土交通省が社会分野に特化した不動産の評価基準作成を目指しているが、その概要は?

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 国土交通省は、2023年度をめどにESGの内のS(社会)分野に特化した不動産の評価基準を設ける。S分野は、評価項目や評価手法、情報開示の方法が定まっていないことから、これらを整理する。

 中間取りまとめ段階では、①安全・尊厳(防災、防犯、人権、多様性、少子高齢化対応)、②心身の健康(健康な暮らし・働き方の実現、快適で利便性の高い職場環境の実現)、③豊かな経済(多様な生き方と生産性向上、地域経済の活性化)、④魅力のある地域(地域文化活性化、コミュティの再生)等が評価項目としてあげられている。

  • 2022.07.11
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この夏、電力逼迫が問題となっているが、短期・中長期の対応策は何?

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<短期>
・家庭・企業への節電の呼びかけ
・電力会社からの節電要請に協力すると電気料金を割引する「デマンドレスポンスサービス」の利用
・経産省が8月導入を目指している、節電プログラムへの参加者への2,000円相当の節電ポイント付与。
・電力広域的運営推進機関による需給の厳しいエリアへの他地区送電会社からの電力の融通依頼

<中長期>
・電源募集による休止火力発電の稼働
・容量市場の整備などによる、火力発電設備への一定の投資継続
・安全が確保された原子力発電の再稼働
・広域送電網の増強

  • 2022.06.27
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2022年夏、2023年冬の電力逼迫が予想されているが、その原因は何?

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 萩生田経産大臣が、7月が猛暑だった場合、東北、東京、中部の3エリアで、電源供給の余力を示す予備率が3.1%と需給が非常に厳しいという見通しを示しているが、来年冬も含めて電力逼迫の原因は以下のとおり。

・太陽光発電などの天候に左右される発電の割合が増えていること
・脱炭素の流れから火力発電に対する大規模投資がしづらくなっており、採算面からも休廃止する施設が増えていること。
・ウクライナ情勢などにより、LNGの安定調達ができるか不透明なこと。
・原子力発電の再稼働に対するハードルが高く、稼働率が低いままであること。
・広域送電網整備が不十分で、エリアをまたいでの送電が十分できないこと。

  • 2022.06.27
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日本取引所グループが9月から開始するカーボン・クレジット試行取引とは何?

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 日本取引所グループは、経済産業省の委託事業を落札し、「カーボン・クレジット市場の技術的実証等事業」を開始することを5月16日公表した。東京証券取引所の中に専用市場を設けて9月に二酸化炭素排出量取引の実証実験を始める。

 森林保護や省エネルギーによる二酸化炭素排出削減効果を、自社の排出量と相殺して地球温暖化に対する取組をアピールしたい企業が購入するものだが、これまでの国内の排出量取引は相対取引で実態がわかりにくかった。市場取引で取引価格等が公表されることで、市場の発展が期待できるかもしれない。

  • 2022.06.27
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東京都が住宅への太陽光発電の設置義務化を検討しているが、その内容は?

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 東京都は5月24日に開催した「第52回東京都環境審議会」において、住宅など中小規模の新築建築物への太陽光発電設備の設置を義務付ける方針を決定した。5月25日から6月24日までの期間でパブリックコメントの募集を行った。

 対象となるのは、延べ床面積2000㎡未満の建物で、都内で年間総延べ床面積2万㎡以上を供給するハウスメーカーなどの事業者に太陽光パネルの設置が義務化される。最終的にはエンドユーザに価格転嫁され、住宅等の価格が上昇することがマイナス面として懸念されている。

  • 2022.06.13
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金融庁が5月27日に公表した「資産運用業高度化プログレスレポート2022」で宣べている「グリーンウォッシュ問題」に対する提言の内容は何?

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金融庁は、「グリーンウォッシュ問題」(見せかけのESG対応問題)への対応として、公表資料でESG投信運用会社向けに以下の提言をしている。 

・専門性を有する人材の確保を含めた必要な組織体制を構築すべき。

・ ESG 要素をどのように特定・評価しているのか、ポートフォリオの決定にどのように活用しているのか、エンゲージメント・議決権行使をどのように行っているのか等について開示の充実に取り組むべき。

・ 企業分析の一要素として ESG 要素を考慮するにとどまる場合は、 ESG を主たる特徴とする投資信託であるかのような誤解を投資家に与えないようにすべき。
 

  • 2022.06.13
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米国証券取引委員会が資産運用会社に対し、ESG情報開示を原因として制裁金を課したが、その原因は何?

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5月23日、米国証券取引委員会は、大手銀行バンク・オブ・ニューヨーク(BNY)メロンの資産運用子会社に対し、同社が投資する先のESGに関する情報開示が不十分だとして制裁金150万ドルを科した。

投資先企業のESG活動を適切に評価しないと罰せられるという事例となっている。今後は、ESGに関する情報開示に対する規制がより強まる可能性がある。

  • 2022.06.13
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米国の大手銀行の株主総会で気候変動に関する提案が相次ぎ否決されている。時代に逆行する動きのようだが、その背景は何?

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気候変動対策を重視する団体が米大手銀行へ株主提案を提出し、新たな化石燃料の探査・開発への融資を止めるよう求めたが、多くの場合、提案への支持が広がらず否決されている。

ロシアのウクライナ侵攻により、長期的な気候変動対策目標より目先のエネルギーの安定的調達が喫緊の課題となっている状況が反映されている。
 

  • 2022.05.30
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ロシアのウクライナ侵攻のESG投資に対する影響は?

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 短期的には、以下のような脱炭素をめざすESG投資に対する逆行の動きがみられる。

・米国では欧州への輸出のため石油増産の動きがある。化石燃料関連のファンドへの資金流入も強まり、金融機関へ化石燃料企業への融資の停止を求める株主提案の否決が相次いだ。

・中国では、石炭の増産、石炭火力による発電が増大している。

・ロシアからの天然ガス供給に多くを頼っているドイツを中心に、石炭輸入の増加、石炭火力の廃止延期の動きが見られる。

 しかしながら、欧米諸国は、今年6月に開催されるG7での石炭火力の全廃の合意を目指するなど、中長期的には、欧米の脱炭素への動きは揺らいでいない。

  • 2022.05.30
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ロシアのウクライナ侵攻の食料供給に対する影響は?

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 ロシアとウクライナの小麦の輸出は世界の約3割、トウモロコシの輸出は約2割を占めているが、ロシアのウクライナ侵攻により、黒海の港湾が封鎖され輸出が満足にできない状況が続いている。ウクライナ国内の倉庫は収穫済みの穀物で満杯状態となっている。

   このため、世界各地で小麦価格が高騰している。また、インドは食糧確保のため小麦・砂糖の輸出禁止に踏み切り、さらなる国際相場の上昇を招いている。

  • 2022.05.30
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2021年以降LNG価格が高騰している要因は何?

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 2019年・2020年、アメリカのシェールガス・オイルの増産や新型コロナウイルス感染症による世界的な経済低迷により、LNG価格は低下していたが、2021年以降、LNG価格が上昇を続けている。厳冬などの季節要因以外の主な要因は以下のとおり。

・新型コロナウイルス感染症からの世界経済の立ち直りによる需用が増加している。

・中国は石炭火力への依存度が高いが、本格的な再生可能エネルギーへの移行までのつなぎとして、比較的CO2排出量の少ないLNG火力発電へのシフトを強めている。

・ロシアのウクライナ侵攻に対する制裁ため、各国はロシアからの石油・天然ガスの輸入の削減を検討しており、燃料調達のリスクが高まっている。サウジアラビアなど中東諸国は原油の増産要請に応じておらず、原油価格と連動するLNG価格の高騰につながっている。