栗と北斎と花の町 長野県小布施町
環境と経済の両立を推進
一般財団法人日本不動産研究所 長野支所
不動産鑑定士 塚田 栄二郎
長野県では「SDGs未来都市」計画(概要)が発表されており、30年の目指す姿として「学びの県」「人を惹きつける快適な県」等が標榜されている。小布施町は、人口11,008人(20年5月1日現在)、面積19.12k㎡と県内最小の自治体ながら多数の博物館や美術館が存し、観光客が訪れる北信の町である。長野市、須坂市、中野市、高山村に接し、四方を川と山に囲まれ、りんごやぶどう、栗の生産が盛んである。福島正則公の終焉の地でもあり、江戸時代には北信濃の経済・文化の中心地として栄え、葛飾北斎が晩年を過ごし多数の画を残した「栗と北斎と花の町」である。
町中には博物館や美術館、栗菓子店等が軒を連ね、石畳が多用され、風情ある町並みを見せる。浮世絵師として有名な北斎は、富嶽三十六景などの木版浮世絵を残しているが、80歳を超えてから小布施を4回訪れ、多くの肉筆画を残している。江戸から240kmの距離を宿場町に立ち寄りながら約5泊6日で来訪したというのだから、高齢にして驚くほどの健脚である。