No.12 栃木県栃木市

完成期迎えた“蔵の街”リノベ 栃木市
真価が問われる再生計画

一般財団法人日本不動産研究所 宇都宮支所
不動産鑑定士 永井正義

 栃木市は栃木県南部に位置する人口約16万人の都市である。市街地には蔵造りの家屋が並ぶ街並みが保存されていることから小江戸、小京都などと呼ばれ、観光地としての人気も高い。江戸時代には、日光例幣使街道の宿場町として栄え、市内を流れる巴波川の舟運を活用した商人町として発展を遂げた。喜多川歌麿ゆかりの地でもある。

中心部に遊休地

 古い歴史や観光資源を有する栃木市であるが、人口減少に伴う市街地の空洞化が問題となっている。特に複合的都市拠点である栃木駅周辺の中心部でその傾向は顕著である。中心市街地の活力の低下は市全体の活気に影響を及ぼす。このような地域の変化に対応して、都市機能をより一層集約化していくことで都市の再構築を行うことが求められた。