中心部の空き家問題に挑む 山形県山形市
地域一丸で「準学生寮」提供
一般財団法人日本不動産研究所 山形支所
不動産鑑定士 中村 剛
山形市は人口25万人弱の山形県の県庁所在地である。県内で最も人口が多く、昨年4月に中核市に移行したが、人口は05年をピークに微減傾向が続き、かつて中心部に存した大型商業施設や百貨店は撤退し、中心部は空き店舗が目立つ。今年1月には唯一営業していた百貨店が経営破綻し、山形県は全国で唯一、日本百貨店協会加盟の百貨店が存在しない県となった。
こうした中、中心部の居住人口を増やそうとする取り組みが始まっている。山形県、山形市、山形県住宅供給公社(以下「公社」)、山形大学、東北芸術工科大学が連携し、中心部の空き物件を学生のためのシェアハウス等にリノベーションし、公社が管理運営するという仕組み(準学生寮「山形クラス」)である。大学が直接管理しない賃貸物件なので「準学生寮」という位置付けとなっている。