国際不動産価格賃料指数は、国や地域によって異なる不動産の制度や慣習にについて、統一目線で横並びでの比較検討を行うため、日本不動産研究所の不動産鑑定士が実際に現地に赴き、評価した価格・賃料を指数化したものです。
具体的には、価格時点時点(各年4月1日、10月1日)において、対象物件の新築・新規契約を前提とした1 ㎡あたりの価格・賃料を評価し、指数化しています。これによって、各国・地域の不動産市場動向や最新トレンドが横並びで比較検討が可能です。 「不動産市場・国際化」のため、日本不動産研究所の新たな取り組みの一つです。
第18回「国際不動産価格賃料指数」(2022年4月現在)調査結果
日本不動産研究所は、第18回「国際不動産価格賃料指数」(2022年4月現在)の調査結果を次のとおり公表いたします(調査方法などの概要は末尾参照)。なお、詳細な調査結果は、「国際不動産価格賃料指数/詳細調査」として有料にてご提供しておりますので、末尾のお問い合わせ先までご連絡ください。
調査結果(前回調査との比較を中心に)
(変動率は全て2021年10月から2022年4月までの数値)
■オフィス市場
・今回の調査でオフィスの価格・賃料の上昇率が最も高かったのは「ソウル」であった。「ソウル」ではコロナ禍で業績が伸びている医療関連企業等のオフィス需要が市場を牽引した。
・「大阪」のオフィス価格は4期ぶりのプラスに転じ、「東京」のオフィス価格も2期連続のプラスとなった。これら2都市では投資家による物件取得意欲の底堅さから利回りの低下傾向が見られる。
・「ニューヨーク」ではオフィス空室率が高位にあるものの、立地に優れる大型ビルへの入居・更新事例が見られ、賃料の変動率がプラスに転じた。「ロンドン」では、コロナ対策の行動制限が解除され、プライムオフィスを中心に賃貸市場が改善に向かっている。
・「香港」の中心部における“脱中環”(高水準の賃料を嫌気するテナントが郊外に移転する動き)が一巡しつつあり、賃料の下落幅は3期連続で縮小した。賃料の底入れが近いとの期待も高まっている。
・「ジャカルタ」では出社率が回復傾向にありテナントの引き合いは増加しているものの、企業の様子見姿勢が残っており、成約には至らないことも多い。オフィス賃料の下落は14期連続となった。
■マンション市場
・「ニューヨーク」ではオフィス出勤の再開によって都心部に居住環境を求める実需層が広がりを見せており、市況の回復が継続している。金利先高感を背景にマンション価格の上昇ペースが加速した。
・「台北」においてはインフレ傾向や建築コストの上昇懸念等がマンション価格の上昇に寄与した。
・「ソウル」では金利の引上げや大統領選挙に対する様子見姿勢が広がり、価格上昇幅が鈍化した。
〔調査の概要〕 国際的な主要都市の不動産市場動向を調査するため、対象都市の調査物件について、日本不動産研究所の不動産鑑定士が評価した価格・賃料を指数化したもの。 ◆対象都市 : 東京、大阪、ソウル、北京、上海、香港、台北、シンガポール、クアラルンプール、バンコク、ジャカルタ、ホーチミン、ニューヨーク、ロンドンの14都市 ◆対象用途 : オフィス、マンション ◆物件数 : 1都市あたり6物件(オフィス3物件、マンション3物件) ◆調査内容 : 価格時点(各年4月1日、10月1日)において、対象物件の新築・新規契約を前提とした1㎡あたりの価格・賃料を評価し、指数化 |
〔お問い合わせ先〕
一般財団法人日本不動産研究所 研究部:愼、吉野、秋山、竹内(TEL:03-3503-5335)