2022/07/07 【公表資料】オフィス賃料予測(2022~2025年)を公表

東京のオフィス賃料予測(2022~2025年)

 当公表資料は、オフィス市場動向研究会(日本不動産研究所と三鬼商事(株)との共同研究会)が、日本経済研究センターの中期経済予測のマクロ経済データを活用して、計量的アプローチにより将来のオフィス市況の動向を推計しています。



 調査結果の概要 

●東京ビジネス地区の予測結果

 2022年・2023年は、前年の新型コロナの影響で上昇した空室率は、経済の回復とともにやや改善し5%台後半で推移するが、賃料は下落幅が縮小するも下落が継続。

 2024年には、空室率は5.5%に改善、賃料も前年比-0.3%と下落幅が縮小。しかし、2025年には新規大量供給の影響もあり空室率は6.7%に上昇、賃料も-3.0%と下落幅が拡大する見通し。

 



1.調査結果 

1)予測の前提となるマクロ経済見通し 

マクロ経済の予測値は、日本経済研究センターの「第48回中期経済予測:標準シナリオ(2022年4月1日)」を採用。

図表1 マクロ経済の将来見通し(2022年以降予測値)

なお、コロナ後におけるリモートワークの本格導入やそれによるオフィス利用の変化については、今回の予測では反映していない。

2)東京ビジネス地区の予測結果 

①短期予測(2022~2023年)

 ■2022年は、新規供給は比較的限定されるものの、需要は空室在庫を大きく減少させるほどの力強さはなく、空室率は5.9%と緩やかに改善。賃料指数は、前年比で-2.9%の107.7と下落。

 ■2023年は、新規供給の増加が見込まれるが、新規供給が需要を喚起することで空室在庫は減少し、空室率は5.6%と緩やかに改善。賃料指数は前年比-1.1%の106.5と下落傾向が続くものの、下落幅は縮小。
 

②中長期予測(2024~2025年)

 ■2024年は、新規供給が限られる見通しであるが、需要の伸びも限定的で、空室率は5.5%と緩やかな改善にとどまる。賃料指数は前年比-0.3%の106.1といったん下げ止まりの兆しを見せる。

 ■2025年は、大規模な再開発の竣工が続き新規供給量が過去最大レベルとなるため、空室率は6.7%に上昇。賃料指数は空室率の上昇の影響もあり前年比-3.0%の102.9に下落の見通し。

 

図表2 東京ビジネス地区の賃料及び空室率 (2022年以降は予測値)

図表3 東京ビジネス地区の新規供給量と吸収量(注)

規供給量・・・2010年~2021年:新規供給量(貸室面積) 
       2022年~2025年:各年の新規供給量(延床面積)にレンダブル比を乗じて新規供給量(貸室面積)を算出
吸収量・・・・[吸収量]= ([当年の貸室面積]✕(1 – [当年の空室率])) – ([前年の貸室面積]✕(1 – [前年の空室率]))
   ※2010年~2021年の貸室面積、空室率については、三鬼商事公表データの12月末時点の数値。
      2022年~2025年の貸室面積は、前年の貸室面積に当年の新規供給量(貸室面積)を加算して算出。空室率は、予測値。
      2010年~2021年まで新規供給量(貸室面積)および2022年~2025年の新規供給量(延床面積)は三鬼商事提供データに基づく。

 


2.調査方法 

東京ビジネス地区(注)の大・中型ビル(延床面積3,000㎡以上)における2000~2021年の成約事例データをもとに、以下の手順で2022~2025年の賃料及び空室率の動向を予測。

 ①賃料指数の作成(ヘドニック型指数の作成)
  成約事例データ等をもとに、共益費込み賃料のヘドニック分析を行い、その結果を利用してヘドニック型の賃料指数を作成。

 ②オフィス賃料変動モデルの構築(マクロ計量モデルの応用)
  実質GDPを使ってオフィス床の需要量及び供給量、賃料指数を求める式を推定し、これらを合わせたモデルに内挿テストを実施し、オフィス賃料変動モデルを構築。

 ③オフィス賃料の予測
  日本経済研究センターによるマクロ経済の将来見通しを採用し、三鬼商事から提供された供給データを利用して、上記モデルで2022~2025年の賃料及び空室率の動向を予測。

  (注)東京ビジネス地区(都心5区):千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区



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