日本不動産研究所は、オフィス・共同住宅の賃料動向を把握するため、1996年9月末に全国賃料統計の調査を開始しました。
毎年9月末時点で、当研究所の本社・支社・支所の不動産鑑定士等が、全国主要都市のオフィス76地点、共同住宅158地点を対象にモデル建物の新規賃料を査定し、市場規模を示すウエイトを乗じて指数化しています。
調査結果の概要
○オフィス賃料は、調査地点の約7割が前年から横ばいとなったが、東京圏と大阪圏で前年から下落傾向が続いており、全国平均も2年連続下落。地方別では、北海道地方、九州地方がともに0.9%上昇した一方、それ以外の地方は横ばいもしくは下落となった。
○共同住宅賃料は、調査地点の約8割が前年から横ばいであるが、東京圏と大阪圏等での連続上昇を受けて全国平均も2年連続上昇。地方別では、中部・東海地方と四国地方を除いて横ばいもしくは上昇となった。
○今後の見通しは、オフィス賃料は東京圏と大阪圏の下落が続き、2023年9月末時点では全国平均で0.5%の下落。共同住宅賃料は東京圏と大阪圏で引き続き上昇し、全国平均では0.4%の上昇と予想。
図表1 賃料指数 (2010年を100とする指数)
注:東京圏とは、首都圏整備法による既成市街地及び近郊整備地帯を含む都市
大阪圏とは、近畿圏整備法による既成都市区域及び近郊整備区域を含む都市
名古屋圏とは、中部圏開発整備法による都市整備区域を含む都市
六大都市とは、東京都区部、横浜市、名古屋市、京都市、大阪市、神戸市
1.オフィス賃料 (図表1~5参照)
・オフィス賃料は、調査時点の約7割が横ばいであったが、東京圏と大阪圏が下落傾向の影響で、全国平均では2年連続下落となり、前年は0.5%、今年は0.4%下落となった。
・都市圏別では、東京圏と大阪圏で2年連続下落したが、名古屋圏では横ばい、三大都市圏以外では上昇幅が縮小したものの、依然として上昇が続いている。
・地方別では、北海道地方と九州地方は前年より上昇幅が縮小し、ともに0.9%上昇となったが、その他の地方は横ばいもしくは下落となった。
・前年から上昇した地点の数は、今回が6地点と前年の4地点より微増した。一方、下落した地点の数は今回が18地点と前年の21地点から微減。なお、52地点が横ばいとなった。
・全国の主要な地点におけるオフィス賃料は、前年同様に3地点が上昇、残り7地点は横ばいもしくは下落となった。
図表2 オフィス賃料の変動率
図表3 オフィスにおける上昇等の地点数の推移
図表4 全国の主要地点におけるオフィス賃料指数(前回・今回・予想)
図表5 全国の主要な地点におけるオフィス賃料指数(上段:2010年を100とする指数、下段:変動率)
2.共同住宅賃料 (図表1、6、7参照)
・共同住宅賃料は、調査地点の約8割が前年から横ばいであるが、東京圏と大阪圏等での連続上昇を受けて、全国平均では前年の0.2%から0.5%に上昇した。
・都市圏別では、すべての都市圏で上昇となった。その内、東京都区部の大幅な上昇により、東京圏の上昇率が0.6%と最も大きかった。
・地方別では、中部・東海地方と四国地方を除いて地方は上昇もしくは横ばいとなった。
・前年から上昇した地点の数は今回が28地点と前年の12地点から増加した。下落した地点の数は今回が11地点と前年の17地点から減少した。なお、119地点が横ばいとなった。
図表6 共同住宅賃料の変動率
図表7 共同住宅における上昇等の地点数の推移
3.今後1年間の見通し
・オフィス賃料指数は、多くの都市が横ばいの中、東京圏と大阪圏では下落が続き、2023年9月末時点では全国平均で0.5%の下落と予想。
・共同住宅賃料指数は、東京圏と大阪圏等で上昇が続き、2023年9月末時点では全国平均で0.4%の上昇と予想。
全国賃料統計の概要
全国賃料統計は、オフィス・共同住宅の賃料動向を把握するため、1996年9月末に調査を開始した。毎年9月末時点で、当研究所の本社・支社・支所の不動産鑑定士等が、全国主要都市のオフィス76地点、共同住宅158地点を対象にモデル建物の新規賃料を査定し、市場規模を示すウエイトを乗じて指数化している。
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