国際不動産価格賃料指数は、国や地域によって異なる不動産の制度や慣習について、統一目線で横並びでの比較検討を行うため、日本不動産研究所の不動産鑑定士が実際に現地に赴き、評価した価格・賃料を指数化したものです。
具体的には、価格時点時点(各年4月1日、10月1日)において、対象物件の新築・新規契約を前提とした1 ㎡あたりの価格・賃料を評価し、指数化しています。これによって、各国・地域の不動産市場動向や最新トレンドが横並びで比較検討が可能です。 「不動産市場・国際化」のため、日本不動産研究所の新たな取り組みの一つです。
第19回「国際不動産価格賃料指数」(2022年10月現在)調査結果
日本不動産研究所は、第19回「国際不動産価格賃料指数」(2022年10月現在)の調査結果を次のとおり公表いたします(調査方法などの概要は末尾参照)。なお、詳細な調査結果は、「国際不動産価格賃料指数/詳細調査」として有料にてご提供しておりますので、末尾のお問い合わせ先までご連絡ください。
調査結果(前回調査との比較を中心に)
(変動率は全て2022年4月から2022年10月までの数値)
■オフィス市場
・今回の調査でオフィスの価格の上昇率が最も高かったのは「大阪」であった。国内外の機関投資家が積極的な投資姿勢を維持する中、利回りの低下が価格の上昇に寄与した。
・「東京」では賃貸市場において空室率の上昇と賃料水準の下落が継続しているものの、緩和的な金融環境を背景に市場参加者の投資意欲は引き続き強く、利回りが低下傾向にある。
・「シンガポール」においては金利上昇を背景としてオフィスに対する投資意欲に一服感が見られ始めている。
・「香港」では金利上昇に加え賃貸市場の軟調さも相俟ってオフィス価格の下落率が拡大した。
・「ニューヨーク」では大手IT 企業の業績悪化等を背景として賃貸需給が弛緩し、賃料が横ばいに留まった。稼働率が低下していることから、オフィス価格も3 期ぶりの下落に転じた。
・「ロンドン」では好立地・高スペックのビルに対する選好性が高く、賃貸市場は底入れに向かっている。その一方、金融引き締めに起因する借り入れコストの上昇により価格の下落幅は拡大した。
■マンション市場
・「大阪」では2025 年に予定されている万博や各種再開発事業等が富裕層の投資意欲を刺激し、中心部のマンション価格の上昇に寄与した。実需向けマンションについても価格が緩やかに上昇している。
・「ニューヨーク」では住宅ローン金利が高騰しているものの、買い替えを検討している売り手側の売却意欲も減退しており、取引が低調な中にあっても売り手優位の状況が継続している。
・「シンガポール」では外国人駐在員層の賃貸需要の回復が顕著であり、賃料は強含みで推移している。
〔調査の概要〕 国際的な主要都市の不動産市場動向を調査するため、対象都市の調査物件について、日本不動産研究所の不動産鑑定士が評価した価格・賃料を指数化したもの。 ◆対象都市 : 東京、大阪、ソウル、北京、上海、香港、台北、シンガポール、クアラルンプール、バンコク、ジャカルタ、ホーチミン、ニューヨーク、ロンドンの14都市 ◆対象用途 : オフィス、マンション ◆物件数 : 1都市あたり6物件(オフィス3物件、マンション3物件) ◆調査内容 : 価格時点(各年4月1日、10月1日)において、対象物件の新築・新規契約を前提とした1㎡あたりの価格・賃料を評価し、指数化 |
〔お問い合わせ先〕
一般財団法人日本不動産研究所 研究部:愼、吉野、秋山、竹内(TEL:03-3503-5335)