弊所は、日本の不動産投資市場における共通理解を深めるため、不動産投資家および不動産投資に関連のある方々のご理解とご協力により、1999年4月に不動産投資家調査を開始しました。本調査は年2回実施しており、調査内容の充実及び精度向上に努めております。
第50回「不動産投資家調査」(2024年4月現在)の調査結果(概要) |
・期待利回りの動向は、各アセットで「低下」と「横ばい」が混在する結果となった。
・オフィスは、「東京・丸の内、大手町」の期待利回りは3.2%で3期連続の横ばいとなり、その他の東京のオフィスエリアも全て横ばいとなったが、地方都市で期待利回りが0.1ポイント低下する地区と横ばいの地区が混在する結果となった。
・住宅は、「東京・城南」のワンルームタイプとファミリータイプの期待利回りはともに3.8%で横ばいとなった。また、地方都市では横ばいと低下が混在する結果となった。
・商業店舗は、「都心型高級専門店」は多くの調査地区で期待利回りが横ばいであったが、「郊外型ショッピングセンター」は多くの調査地区で低下し、「札幌」では0.3ポイント低下した。
・物流施設(マルチテナント型、内陸部)は、「東京(多摩地区)」が4.1%の横ばいであったが、「千葉」、「名古屋」、「福岡」の3地区では0.1ポイント低下する結果となった。
・ホテルは、観光需要等の回復から多くの調査地区で0.1ポイント低下し、「東京」は4.3%でコロナ禍前の最低値(4.4%)を更新した。
・今後については、「新規投資を積極的に行う。」という回答が95%で横ばいとなった。マイナス金利政策は解除されたものの緩和的な金融環境は維持されており、不動産投資家の非常に積極的な投資姿勢が維持されている。
第50回 不動産投資家調査 特別アンケート(概要) |
・今回の調査では近年投資対象として注目されている各種アセットについて、不動産投資家が投融資の対象としてどのように考えるか、アンケートを実施した。なお、冷凍冷蔵倉庫及びデータセンターを投資対象とする回答は検討中を含めていずれも60%程度となったが、それ以外のアセットを投融資対象としている不動産投資家は少ない結果となった。
・投融資の対象としている理由としては、「市場の成長期待があるため」とする回答が冷凍冷蔵倉庫、データセンター、ラボでは最も多かったが、メガソーラーでは「収益の安定性が優れているため」が最も多い回答となった。なお、森林については「ESG投資の一環」「公益性への寄与等」という収益性以外の理由とする回答が30.0%と同率で最も多かった。
・不動産投資市場の今後の成長ファクターについては、「投資アセットの多様化」が最も多く、次いで「市場参加者の多様化」で、今後のリスク要因については、「金利の上昇」が2位以下を大きく引き離して最も多かった。
・アセット毎の不動産投資市場に係る今後の見通しについては末尾に調査結果を掲載。
・不動産投資家がESG投資に対して期待する内容は「不動産価値への影響」とする回答が最も多く、将来的な収益性の向上を期待する声が多かった。
・ESGに配慮した不動産とそうでない不動産の賃料収入について、現在は「特に違いはない」(79.6%)とする回答が最も多かったが、10年後は「1~5%程度高い」(61.1%)とする回答が最も多かった。
・ESG投資に適した不動産とそうでない不動産の期待利回りについて、現在は「変わらない」(78.9%)とする回答が最も多かったが、10年後は「-10bp(価値が高い方向)」(38.6%)とする回答が最も多かった。
・自然災害の頻発、脱炭素化社会の実現やTCFD提言などを受けて、より重視するようになった項目としては「所有する不動産の省エネルギー・創エネルギー対策」とする回答が最も多く、ついで「浸水対策などの不動産レジリエンス向上への施策」、「再生可能エネルギーの利用、グリーン電力証明書等の購入」がいずれも50%を超える結果となった。
・近年頻発する自然災害を受けて、投融資の際に着目する自然災害リスクについては、「水害(内水氾濫・外水氾濫)」(55.4%)、地震・津波(41.1%)の2項目が大きく注目されている結果となった。
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