2024/06/05 【公表資料】東京・大阪・名古屋のオフィス賃料予測を公表

東京・大阪・名古屋のオフィス賃料予測

 当公表資料は、オフィス市場動向研究会(日本不動産研究所と三鬼商事(株)との共同研究会)が、日本経済研究センターの中期経済予測のマクロ経済データを活用して、計量的アプローチにより将来のオフィス市況の動向を推計しています。



 

 調査結果の概要 

●東京ビジネス地区の予測結果

・2023年は大量供給の市況への影響が懸念されていたが、好調な企業業績等を背景に新規需要が喚起され、空室率は6.0%に低下。賃料は僅かな下落にとどまった。

・2024年は新規供給が限られる見通しであり、空室率は5.4%まで低下。空室率の低下を受け、賃料は上昇に転換。

・2025年は大量供給が見込まれるものの、2023年以降の需要の増加傾向が継続し、空室率は4.7%に低下。5%を割り込む空室率の水準の下、賃料は引き続き上昇。2028年まで賃料の上昇傾向は続く見通し。

●大阪ビジネス地区の予測結果

・2023年は新規供給が少なく、空室率は4.1%まで低下。賃料は僅かではあるが上昇に転換。

・2024年は過去最大規模の新規供給となる見通しであり、地区外からの大口の移転需要等が見込まれるものの、空室率は6.3%まで上昇し、賃料は下落に転換。

・2025年も比較的高水準の新規供給が続く見通しであるが、新規需要が喚起されることで空室率は5.7%に低下。賃料は僅かに上昇。

・2026年は新規供給が限られる見通しで、空室率は4.6%に低下。賃料は上昇基調で推移。

●名古屋ビジネス地区の予測結果

・2023年は大量供給の市況への影響が懸念されていたが、地区外からの移転需要等もあり、空室率は前年並みにとどまったものの、賃料は僅かに下落した。

・2024年は平年並みの新規供給の下、空室率は4.6%に低下し、賃料は横ばいで推移。

・2025年はさらに新規供給が減少する見通しで、空室率は3.4%まで低下し、賃料は上昇に転換。

・2026年は大量供給が見込まれているが、地区外からの流入等の需要が喚起されることで空室率は2.8%に低下すると予測。ただし、新規供給を需要が吸収しきれない可能性も残る。



 

 1.調査結果 

 東京・大阪・名古屋のビジネス地区*におけるオフィス賃料等の予測結果は以下のとおりである。日本経済研究センターの中期経済予測の標準シナリオに合わせて予測を行った。

*東京ビジネス地区(都心5区):千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区

 大阪ビジネス地区(主要6地区):梅田、南森町、淀屋橋・本町、船場、心斎橋・難波、新大阪地区

 名古屋ビジネス地区(主要4地区):名駅、伏見、栄、丸の内地区

 

 1)東京ビジネス地区 

・2023年は大量供給の市況への影響が懸念されていたが、好調な企業業績等を背景に新規需要が喚起され、空室率は6.0%に低下した。そのため、賃料は前年比0.5%下落と下落幅が縮小した。

・2024年は新規供給が限られる見通しであり、空室率は5.4%まで低下する。空室率の低下を受け、賃料は前年比1.0%上昇に転換する。

・2025年は大量供給が見込まれるものの、2023年以降の需要の増加傾向が継続し、空室率は4.7%に低下する。5%を割り込む空室率の水準の下、賃料は前年比2.7%上昇と引き続き上昇する。

・その後も2028年まで上昇傾向が続き、2028年末には賃料指数で126.8となり、直近ボトムの2023年(108.7)から約17%上昇する。

 

 2)大阪ビジネス地区 

・2023年は新規供給が少なく、空室在庫の消化が進み、空室率は4.1%まで低下した。賃料は前年比で0.2%上昇と僅かではあるが上昇に転換した。

・2024年は過去最大規模の新規供給となる見通しであり、地区外からの大口の移転需要等が見込まれるものの、空室率は6.3%まで上昇する。賃料は下落に転換するが、前年比1.5%下落と、小幅な下落にとどまる。

・2025年も比較的高水準の新規供給が続く見通しであるが、新規需要が喚起されることで空室率は5.7%に低下。賃料はほぼ横ばいながら前年比で0.2%上昇する。

・2026年は新規供給が限られる見通しで、空室率は4.6%に低下して、賃料は前年比2.2%上昇する。

 

 3)名古屋ビジネス地区 

・2023年は大量供給の市況への影響が懸念されていたが、地区外からの移転需要等もあり、空室率は前年並みにとどまったものの、賃料は前年比0.4%下落と僅かに下落した。

・2024年は平年並みの新規供給の下、空室率は4.6%に低下し、賃料は横ばいで推移する。

・2025年はさらに新規供給が減少する見通しで、空室率は3.4%まで低下し、賃料は前年比で1.9%上昇する。

・2026年は大量供給が見込まれているが、地区外からの流入等の需要が喚起されることで空室率は2.8%に低下すると予測する。ただし、新規供給を需要が吸収しきれない可能性も残る。

 

 2.調査方法 

 東京ビジネス地区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)のオフィスビル(延床面積3,000㎡以上)、大阪ビジネス地区(梅田、南森町、淀屋橋・本町、船場、心斎橋・難波、新大阪地区)のオフィスビル(延床面積1,000坪以上) 、名古屋ビジネス地区(名駅、伏見、栄、丸の内地区)のオフィスビル(延床面積500坪以上) の2001~2023年の成約事例データをもとに、以下の手順で賃料及び空室率の動向を予測推計した。

① 賃料指数の作成(ヘドニック型指数の作成)
  成約事例データ等をもとに、共益費込み賃料のヘドニック分析を行い、その結果を利用してヘドニック型の賃料指数を作成。

② オフィス賃料変動モデルの構築(マクロ計量モデルの応用)
  実質GDP等の経済指標を使って空室率及び賃料指数を求める式を推定し、これらを組み合わせたモデルを構築。

③ オフィス賃料の予測
  日本経済研究センターによるマクロ経済の将来見通しを採用し、三鬼商事から提供された新規供給データ(公表値)を利用して、上記②モデルで空室率及び賃料の動向を予測推計。

 


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