CSRデザイン環境投資顧問株式会社 代表取締役社長 堀江 隆一
ESG投資は、近年ではパリ協定とSDGsを実現することを目的としている。不動産においては、機関投資家はGRESBを活用して、投資対象の不動産会社・ファンドのESGに関するスクリーニング、精査、投資後のエンゲージメント、モニタリングを行っている。これを受けて、投資される側の不動産会社・ファンドのESGに関する取組みも、気候変動、健康と快適性などの分野を中心に進展している。ESG投資の発展形としては、投資リターンを確保しつつ、SDGsの実現に貢献するポジティブ・インパクト投資の考え方が提唱され、実践が始まっている。コロナウイルス禍後においては、気候変動に加えて社会的危機への対応力を含めたレジリエンスや、従業員やテナント(入居者)の健康・労働安全衛生への配慮がより重要になると思料する。
【キーワード】 ESG 投資、気候変動、SDGs、GRESB、ポジティブ・インパクト投資
ジャパンリアルエステイトアセットマネジメント株式会社 ESG推進室長 小林 英樹
【キーワード】 J-REIT、脱炭素、ZEB、戦略、収益性
【Key Word】 J-REIT, De-carbonization, ZEB, Strategy, Profitability
早稲田大学 創造理工学部 建築学科 教授 田辺 新一
口減少・長寿社会と第四次産業革命が並行して進む我が国にあって、持続的にイノベーションを生むために、ひとりひとりが高い満足度を保ちながら実力を発揮して、多様な人材の間での知的融合を持続的に誘発していくことが求められている。また、業務部門における脱炭素化も地球規模で求められている。オフィスに求められる事項とは何か、ポストコロナも含めて考察した。
【キーワード】 脱炭素、ワークプレイス、知的生産性、室内環境、ポストコロナ
【Key Word】 Zero Carbon、Workplace、Productivity、Indoor Environment、post-COVID-19
一般財団法人日本不動産研究所 業務部 次長 古山 英治
ESG投資やESG経営が世界的な潮流になっている。そしてそれは不動産の投資・保有・運営の各場面でも例外ではない。もはやESGへの配慮は不動産を取り扱ううえで必須の考え方だ。ESG投資と不動産の関係について整理し、ESG投資を体現する環境認証について紹介する。ESG投資の実践はコスト増だけではなく、経済的メリットをもたらし不動産価値を高めるのだろうか、そして不動産鑑定評価においてはどのように考慮すべきなのか、本稿にて論説したい。
【キーワード】 ESG 投資、ESG 不動産、環境認証、不動産価値、不動産鑑定評価
国土交通省 国土地理院 総務部長 中島 正人
国土地理院が災害教訓の伝承を進めるため、新たな地図記号として制定した「自然災害伝承碑」は洪水、土砂災害、高潮、地震、津波、火山災害等の自然災害を対象としており、日本の歴史的な自然災害を俯瞰できるデータベースとなりつつある。この自然災害伝承碑を用いて、日本の歴史的災害の地域での被害状況や教訓、災害の分布を伝える。あわせて、国土地理院のウェブ地図「地理院地図」による標高・自然災害伝承碑の確認、色別標高図・白地図の作成等の機能を紹介する。
【キーワード】自然災害、津波、国土地理院、地理院地図、標高
【Key Word】 natural disaster, tsunami, Geospatial Information Authority of Japan, GSI maps, elevation
白石 秀俊
阪神・淡路大震災の発生から25年が経ち、神戸市をはじめとする被災地は復興を遂げた。被災地では現在でも住民やまちづくりの専門家によりその経験を伝える活動が行われ、震災復興土地区画整理事業についても議論が行われている。本稿では、震災25周年を契機として、阪神・淡路大震災後の都市計画決定と土地区画整理事業の経緯を振り返り、①震災復興手法としての土地区画整理事業の歴史と阪神・淡路大震災での活用、②事業実施地域の範囲の決定、③住民意見の反映、④地震発生から都市計画決定までの時間的猶予、について検討した。また今後の教訓として、まちづくりの課題と将来像を平常時から行政と住民が共有することの重要性等を整理した。
【キーワード】阪神・淡路大震災、復興、2段階都市計画、土地区画整理事業
【Key Word】 the Great Hanshin-Awaji Earthquake, reconstruction, two step planning determination procedure, land rezoning project
平井 昌子
当研究所は2020年3月末現在の「市街地価格指数」を2020年6月16日に公表した。 「市街地価格指数」からみた最近の地価動向の主な特徴は次のとおりである。
【キーワード】市街地価格指数、全用途平均、地価上昇
愼 明宏
当研究所は、「第42回不動産投資家調査」の結果を2020年5月26日に発表した。調査結果(2020年4月)の概要は以下のとおりである。
【キーワード】不動産投資家調査、利回り、新規投資意欲
中原 洋一郎
不動産に限らず投資には常にリスクが伴うが、不動産投資は投資額が大きくなりがちなこと、また物件の個別性が強く、市場も必ずしも開放的ではないことから不動産業者と投資家との間に情報の非対称性が生じやすい。とりわけ個人所有の不動産はその個人のライフプランに大きな位置を占めることが大きく、結果として個人所有不動産の投資勧誘では情報提供に関して紛争を生じることが多い。本稿では不動産業者の説明責任等に関して不法行為に基づく損害賠償が認められた事案を通じて、紛争を事前に回避するために注意をすべき事項等について考察する。
【キーワード】不動産投資、不動産賃貸事業、説明義務、収支予測、修繕費
外国鑑定理論実務研究会