不動産研究 63-2

第63巻第2号(令和3年4月) 特集:東日本大震災から10年-震災と復興のこれから-

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第63巻第2号

特集:東日本大震災から10年-震災と復興のこれから-

東日本大震災から10年を迎えて
−復興の進捗と課題、今後に向けた教訓−
The 10th Year since the Great East Japan Earthquake
-Reconstruction Progress, Challenges and Lessons for the Future-

復興庁 事務次官 由木 文彦

令和3年3月で東日本大震災の発災から10年の節目。10年間の取組により、復興は着実に進展。地震・津波被災地域は、住まいの再建や復興まちづくりが概ね完了するなど、復興の「総仕上げ」の段階。原子力災害被災地域においても、帰還困難区域を除く全ての地域で避難指示が解除されるなど、復興・再生が本格的に始まっている。一方で、心のケア等の被災者支援や、原子力災害被災地域における帰還環境の整備や風評の払拭などの中長期的な対応等の課題が残る。令和3年度以降の新たな復興期間「第2期復興・創生期間」に向けて、引き続き復興に万全を期する。また、今後想定される大規模災害を見据えて、震災から得られた教訓・知見の継承を図る。

【キーワード】 第2期復興・創生期間、復興の基本方針、復興の総仕上げ、本格的な復興・再生
【Key Word】 Second Reconstruction and Revitalization Period, Basic Guidelines for Reconstruction, the Final Stage of Reconstruction, the full-scale Reconstruction and Revitalization Stage

福島の復興・環境再生に向けた取り組み
Environmental Remediation in Affected Areas in Japan

環境省 環境再生・資源循環局長 森山 誠二

東北地方太平洋沖地震に伴う福島第一原子力発電所の事故後、2011年に制定された特別措置法に基づき、環境省では土壌等の除染等の措置や汚染廃棄物の処理を行ってきた。これまでに、地域の皆様の苦渋のご決断により中間貯蔵施設や特定廃棄物埋立処分施設等を受け入れて頂き、除染、汚染廃棄物処理、中間貯蔵施設整備等の環境再生事業は一定の進捗をみている。また、福島県内除去土壌の県外最終処分に向けた取り組み、福島復興に向けた福島再生・未来志向プロジェクト等の取り組みを行っている。

【キーワード】 除染、中間貯蔵、輸送、最終処分
【Key Word】 Decontamination, ISF, Transportation, Final Disposal

岩手県におけるこれまでの復興の取組と今後の復興推進

岩手県復興局

岩手県は、東日本大震災津波以後、国内外の皆様から御支援や励ましをいただきながら、復興の取組を進めてきた。本稿は、岩手県における東日本大震災津波からの復旧・復興の取組と今後の課題をまとめたものである。被災地の復興は着実に進んでいるものの、こころのケア等の被災者支援やなりわいの再生など、残された課題もあり、被災者一人ひとりの復興が成し遂げられるよう、引き続き全力で取り組んでいく。

宮城県における震災復興への取組と今後の政策

宮城県企画部

本稿は、東日本大震災によって甚大な被害を受けた宮城県の震災復興の取組について、平成23年10月に策定した「宮城県震災復興計画」の基本理念や復興のポイント等の概要を示し、復興の進捗状況をまとめたものである。また、宮城県震災復興計画の理念を継承した「新・宮城の将来ビジョン」についても紹介する。

ふくしま復興10年間の取り組みと今後の施策

福島県企画調整部復興・総合計画課

本稿は、東日本大震災及びそれに伴う東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所による原発事故からの本県の復興・再生について、福島県復興ビジョンや福島県復興計画等によるこれまでの取組を示すとともに、復興の進捗状況をまとめたものである。

また、今後の本県の復興の施策については、令和3年3月に策定した「第2期福島県復興計画」の概要を示すとともに、本県の産業復興の要となる「福島イノベーション・コースト構想」について言及する。

震災から10年、東北の地価動向
−被災地土地価格指数による考察−
Trends in land prices of Tohoku area after The 2011 Great East Japan Earthquake

一般財団法人日本不動産研究所 東北支社 主幹 奥野 治幸

2011年3月の東日本大震災によって被災した岩手・宮城・福島の被災3県等の市町村別土地価格指数を作成して、震災後10年を経た東北の地価動向を説明することを試みた。同指数からは、地価の回復状況に顕著な地域差があることが読み取れた。また、被災地特有の地価変動が観察された地点の事例についても併せて紹介する。

【キーワード】 大震災、被災地、土地価格指数、震災復興
【Key Word】 Earthquake, Disaster-Stricken areas, Land price index, Earthquake Reconstruction

大規模災害と課税土地評価について

一般財団法人日本不動産研究所 参与 石井 優
 同 公共部 次長 鈴木 康隆
 同 総務部兼公共部 次長 浅尾 輝樹
 同 公共部 主席専門役 髙橋 英嗣
 同 公共部 主席専門役 堤 信爾

我が国においては、近年、震災や水害等の大規模な自然災害が多発している。本稿では、弊所がこれらの大災害の際に行った相続税及び贈与税に係る財産評価(以下、「相続税評価」という。)支援業務、固定資産税評価支援業務のなかで得た知見等をもとに大規模災害発生に伴う相続税評価、固定資産税評価のあり方についてとりまとめた。具体的には、相続税評価と固定資産税評価は制度が異なるため様々な相違があることから、それぞれの制度の下で災害の影響をどのように考慮するのか、実務でどのような対応が行われたか等について紹介する。

【キーワード】 東日本大震災、相続税評価、調整率、固定資産税評価、震災残価率、所要の補正

震災と土地取引への影響
−阪神・淡路大震災による神戸市被災地の土地取引への影響について−

国土地理院 総務部長 白石 秀俊

本稿は、阪神・淡路大震災がもたらした土地取引への影響について分析調査したものである。

【キーワード】 阪神・淡路大震災、被災地、土地取引

調査

山林素地及び山元立木価格の動向
-2020年調査結果をふまえて-

松岡 利哉

当研究所が2020年11月5日に公表した2020年3月末現在の「山林素地及び山元立木価格調」によると、主な山元立木価格は3年連続上昇後の反落となり、山林素地価格の下落率は拡大傾向にある。

本稿では、「山林素地及び山元立木価格調」の調査結果に加えて、その後分析した内容を紹介する。

【キーワード】 山林素地価格、山元立木価格、素材(丸太)価格

判例研究(111)

位置指定道路の廃止と道路敷地所有者の承諾
―東京高裁平成28年11月30日判決を契機として―

国士舘大学教授・弁護士 関 葉子

The Appraisal Journal Fall 2020

外国鑑定理論実務研究会

不動研だより

新たな技術の応用に挑戦するREA-Tech研究開発グループの紹介

総務部情報戦略室 次長 REA-Tech研究開発グループ 浅尾 輝樹

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