みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社 調査部
山本武人 松浦大将 坂本明日香 田村優衣 越山祐資 諏訪健太 武田英子
先進国、新興国問わず、カーボンニュートラルに向けた取り組みが活発化している。カーボンニュートラル実現には、従来の生産構造を変える必要があり、そのインパクトは広範囲に及ぶことが懸念される。本稿では、国際産業連関表分析によりカーボンニュートラルへの取り組みに起因する世界の生産構造変化とそのマクロ経済への影響、変化の過程で生じる資源や技術等の需給不均衡が物価を押し上げる「グリーンフレーション」に関する論点を整理する。
【キーワード】気候変動、カーボンニュートラル、国際産業連関表、グリーンフレーション
【Key Word】climate change, carbon neutral, multi-regional input-output table, greenflation
株式会社ニッセイ基礎研究所 金融研究部 主任研究員 吉田 資
環境・社会問題に対する関心の高まりを背景に、「環境性能評価」の普及が進み注目も高まっている。不動産市場を把握する上で、「環境性能評価」が不動産取引に与える影響を把握することは重要だと思われる。本稿では、大阪市の「自治体版CASBEE」を対象に、「環境性能評価」が新築マンション価格に及ぼす影響について分析を行った。分析の結果、新築マンション価格は、「環境性能評価(総合評価)」が1ランク高い場合、約4.7%高いことが示唆された。政府は2050年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロにする目標を掲げるなど、社会的な機運が高まる中、個人の住宅選択においても「CO2削減」等に配慮した住宅への評価が高まると考えられる。今後は不動産取引において「環境性能」に関する情報の重要性が高まり、価格に及ぼす影響が大きくなる可能性がある。
【キーワード】 環境性能、ヘドニック価格モデル、分譲マンション価格、CASBEE
【Key Word】Environmental efficiency, Hedonic pricing method, Condominium price, CASBEE
一般財団法人日本不動産研究所 研究部長・国際部長 山下 誠之
持続可能性とESGに配慮した企業経営が国際的な広がりを見せており、不動産投資においても機関投資家を中心にESG投資やグリーンビルディングといった言葉に代表されるような持続可能性や環境リスクに対応する取組が普及してきている。不動産の鑑定評価の分野では、この問題に対する社会的関心が高い欧州を中心に持続可能性とESGの要素を考慮した不動産の鑑定評価における実務的な検討が進んでいる。本稿は、今後のわが国における検討に資することを意図して、欧米での鑑定評価に関する取組を紹介・解説するものである。
【キーワード】気候変動、持続可能性、ESG、SDGs、グリーンビルディング、環境リスク、レジリエンス、TCFD、鑑定評価、デューデリジェンス
松岡 利哉
当研究所が2021年10月29日に公表した2021年3月末現在の「山林素地及び山元立木価格調」によると、山元立木価格はウッドショックに伴う上昇となり、山林素地価格の下落率は縮小傾向にある。
本稿では、「山林素地及び山元立木価格調」の調査結果に加えて、その後分析した内容を紹介する。
【キーワード】山林素地価格、山元立木価格、素材(丸太)価格、ウッドショック
松岡 利哉
2021年10月29日に「田畑価格及び賃借料調(2021年3月末現在)」を公表した。米価の上昇基調が下落に転じ、田賃借料及び田価格の下落幅は拡大した。本稿では、公表した調査結果に加えて、その後分析した内容を紹介する。
【キーワード】田畑価格、田畑賃借料、米価
琉球大学法科大学院名誉教授・弁護士 北河 隆之
外国鑑定理論実務研究会
公共部 主席専門役 堤 信爾