企業が保有する不動産には、企業が自ら使用する固定資産としての不動産の他に、販売用として保有する「販売用不動産」があります。
従来「販売用不動産」(棚卸資産)は原価法と低価法の選択適用が認められていました。ただし、原価法を適用している場合であっても、時価の下落が著しい(50%以上の下落)場合には、回復する見込みがある場合を除き、時価をもって貸借対照表価額としなければならない(強制評価減)とされてきたところです。
しかし、平成18年7月に企業会計基準委員会から示された「棚卸資産の評価に関する会計基準」(企業会計基準第9号)により、国際会計基準と同様に低価法への適用一本化が図られました。同基準では平成20年4月から開始する事業年度より適用開始されました。
「販売用不動産」には、企業のノウハウと資金が投入されていますが、いまだ完成に至っていないものも多く、評価が困難なものが少なくありません。
日本不動産研究所では、これまで蓄積してきた評価実績をもとに、この対応を迅速かつ適切に行えるように、評価手法等の開発を行ってきました。
開発が完了した不動産としては、更地分譲が計画されていた場合の造成後の分譲地、戸建分譲が計画されていた場合の建物付分譲地、マンション分譲が計画されていた場合の区分所有建物等があります。
この場合、開発は完了しているが、販売が完了していないという観点から、市場の状況を反映した評価を行います。
次の基本式のうち「販売見込額」をご提示いたします。
(基本式)
販売用不動産の時価=販売見込額 - 販売経費等見込額
開発を行わない不動産としては、開発目的で取得したが市場の変化により開発の実現可能性がないと判断された不動産、転売目的で取得した不動産等があります。
この場合、現状有姿での売却を想定した評価を行います。
次の基本式のうち「販売見込額」をご提示いたします。
(基本式)
販売用不動産の時価=販売見込額 - 販売経費等見込額
開発後販売する不動産としては、開発の実現可能性のある開発前素地、開発造成中の土地等があります。
この場合、開発の実現可能性があることを考慮し、合理的な開発計画に基づいた評価を行います。
次の基本式のうち「開発事業等支出金の時価」をご提示いたします。
(基本式)
開発事業等支出金の時価=完成後販売見込額 -(造成・建築工事原価今後発生見込額+販売経費等見込額)