北本政行
溝越祐輔
昨今の不動産証券化市場の発展は目覚ましい。こうした環境において、法制の要請による場合と実務的な要請による場合があるが、いずれにせよ不動産鑑定評価は不動産証券化市場に不可欠な存在となっている。したがって、証券化対象不動産の価格に関する鑑定評価手法を策定した今般の不動産鑑定評価基準の改正の影響は少なくない。また、改正の考え方は、金融商品取引法制にも影響を及ぼしている面がある。本稿は、不動産鑑定評価基準の改正と金融商品取引法制の施行が、鑑定評価の依頼者の業務に及ぼす影響について検討することを目的とする。
町山公孝
日本不動産研究所 改正不動産鑑定評価基準対応チーム
日本不動産研究所 改正不動産鑑定評価基準対応チーム
小松広明
平成16年6月の都市公園法の改正では、「立体都市公園制度」が創設され、都心部等地価の高い商業地においても緑地空間の確保が促されるよう、立体的な土地利用が可能となった。
しかしながら、都市公園等事業における新規採択時評価は、いわゆる住宅地を前提としていると考えられることから、昼夜間人口比率が著しく高い水準にある都心部の商業地では、現行の評価手法の基で適切に公園緑地の効果を捉えることは難しい
そこで、本研究では、公園緑地空間がもたらす外部経済性に着目し、ヘドニック・アプローチにより、都心部の商業地に存する公園緑地空間が、周辺地域の地価形成に与える効果の計測を試みた。
内田輝明
不動産競売により売却されたマンションがいわゆる自殺物件であることが判明したとしても、執行官、評価人に調査義務違反があったとはいえないとして、国及び評価人の損害賠償責任が認められなかった事例である。執行官・評価人が通常行うべき調査方法による調査の過程において、本件不動産においてもと所有者が自殺したことを窺わせる具体的な情報や風評に接しなかった場合には、それ以上に調査を尽くす義務はなかったと判断している。
八木正房
我が国の農地は、世代交代による相続の発生で所有農地が細分化する傾向にあるが、政策的に大規模経営の育成が支援されていることから、貸借を主とする農地の集積が進展途上にある。現在、平成17年3月閣議決定の「新たな食料・農業・農村基本計画」に即して農地制度改正が行われたことから、担い手に対する農地の利用集積の加速化(集落営農の組織化・法人化)、リース特区の全国展開、体系的な耕作放棄地対策の整備が行われている。
また、株式会社の農業への参入問題については、農地貸付(リース)の形態で決着したところであるが、本稿では、新たな形態の担い手である株式会社・集落営農の状況、担い手重点支援・産地重点支援について紹介するとともに、変化する環境下において日本不動産研究所が2007年3月現在で調査し9月19日発表した「田畑価格及び小作料調」の発表内容について詳細を紹介する。
市川丈
外国鑑定理論実務研究会
平成19年5月30日に新築住宅の売主等の瑕疵担保責任履行のための資力確保措置を主な内容とする特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(平成19年法律第66号)が公布された。同法は、新築住宅に係る請負契約の請負人となる建設業者または売買契約の売主となる宅地建物取引業者に、保証金の供託または保険による瑕疵担保責任の履行のための資力確保措置の義務付けがなされた。
また、住宅瑕疵担保責任保険契約の引受けを行う住宅瑕疵担保責任保険法人の指定および保険契約に係る新築住宅に関する紛争処理体制の整備等が規定されている。
これにより住宅の新築請負工事の発注者および新築住宅の買主は、万一住宅の瑕疵があった場合に瑕疵担保責任の履行がなされることにより、欠陥住宅に係る発注者および買主の利益保護がなされ、引いては円滑な住宅の供給が図られることが目的となっている。