伊藤博行
高見沢 実
人口減少社会というと「衰退」をイメージしがちだが、 むしろ「成熟」社会をイメージした政策運営が必要である。量よりも質、なかでも生活の質の向上をいかにはかるかが問われている。その場合、「政府」と「市場」の役割に加えて「ネットワーク」の役割が重要である。筆者のかかわった事例を分析しながらこれら3者の役割分担および動的プロセスについて考察・評価する。また、筆者は「ビジョン」も重要な役割を果たすと考えており、近年、その1つとして注目される「アーバンビレッジ」の研究をおこなっている。本稿の最後にその概念の展開を簡単に述べ、横浜を事例として現在検討しているビジョンづくりについて紹介する。地域価値を総合的に高める成熟社会のまちづくりの手がかりになれば幸いである。
伊藤 史子
本稿では、住生活基本法と住生活基本計画における理念目標のひとつである良好な市場整備、とくに不動産情報の提供について論じる。住宅の量的充足から質的充足の時代に入り、住宅建設五箇年計画にかわって住生活基本法が2006年6月に公布施行され、秋には住生活基本計画が策定されている。同法、同計画と住宅建設法、住宅建設五箇年計画との特徴的な違いは名称に「生活」が入っていることである。これは、住宅の新規建設のみならず住環境向上や住宅ストック管理活用の重視、住宅の取引の場である市場の活用などソフト面への言及を含んでいる法・計画を表現している。住宅同法の基本理念のうちの二つ、「良好な居住環境の形成」と「居住のために住宅を購入するものなどの利益の擁護および増進」の観点から不動産情報の提供に関して考察する。
溝上 章志
熊本市中心市街地北・南地区における時間貸し平面駐車場を対象として、その利用者に対して、1)駐車場利用実態調査と 2)駐車場利用者意識調査を、地権者に対して、3)土地利用意向調査と4)土地の有効利活用に必要な支援策アンケート調査を実施した。これらの調査データより、(1)都心部への自動車流入の回避、駐車後の回遊による活性化への寄与などの視点から、中心市街地外縁部の時間貸し平面駐車場では、土地の共同化によって立体駐車場の立地を誘導するのが有効であることを示した。また、(2)時間貸し平面駐車場からより効率的な用途への変更を促す政策を評価するシミュレーションツールを開発し、適切な容積率規制の緩和や固定資産税の減免などによって中心市街地の低・未利用地が有効利活用される可能性を示した。
小西史憲
市川 丈・幸田 仁
市川丈
関修一
ドイツ・オランダにおける土壌汚染地取引実態調査グループ
外国鑑定理論実務研究会